PG話の第2回目。
今回のお題はPG50にある、「意思疎通規定/Player Communication」について。

なお、この項目は以前の記事 ( http://diarynote.jp/d/74598/20070913.html )
でも話題にしたが、現在のPGに従うと多少の違いはあるので注意されたし。

毒消しは以前と一緒。

この記事は、私ことtestingがサイトやforumからの内容をまとめ、自分なりに解釈したものです。
実際のゲームにおいては、ヘッドジャッジまたは主催者の指示に従い、適切に大会を進行する
ようにお願いいたします。なお、本記事の内容は2008/06改訂のPGに従っており、これ以降の
更新によって、記事内に例示された内容でも解釈や罰則が変わる可能性があります。


 
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 1)意志の疎通が必要です

M:TGは人と人との対戦ゲームである。そして、このゲームは現在の状態を正確に把握し
それから戦術を組み立てていくことが要求される。プレイヤーはその現在の状態を
知るために、頻繁に対戦相手と意志の疎通をしなくてはいけない。

例えば、AとBが対戦をしている時に、以下のような問いをAがBにしたとしよう。

  A「(Bの)手札は何枚ですか?」
  A「(今はBのターンで)このターンに土地を(Bが)プレイしましたっけ?」
  A「その《変わり谷/Mutavault》はクリーチャーですか?」
  A「あなたのコントロールしているキスキンは何体ですか?」
  A「何枚《しもべ》入れてるんですか? 出すぎですよ。」

Bはこれらの問いに色々な答え方をすることができる。
が、Bの返答によっては、Aはゲームの状況の正確な把握ができない場合もある。

では、Bはどこまで答えることができて、どこまでは答えなくても良いのだろうか?
それを決定するのがPG50の記述である。

 
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 2)ゲーム内の情報は3種類に分けられる

PG50ではゲーム内の情報を『共有情報』、『類推情報』、『秘匿情報』の3種類に区分している。

 2−1)『共有情報/Free Information』

  ・現在のゲームの行動や、現在のゲームの局面に影響を及ぼしている過去のゲームの行動
  ・公開領域にあるオブジェクトの名前
  ・オブジェクトがどのような位相であるか(タップ状態、反転状態)、どの領域にあるか
  ・プレイヤーのライフ総量や、現在のマッチのゲーム・ポイント

 これらは、全てのプレイヤーが知る権利がある情報である。
 共有情報に関して聞かれた場合、プレイヤーは完全にかつ誠実に答えなくてはいけない。
 聞かれて答えない、もしくは答えられない場合はジャッジを呼ぶこと。

 2−2)『類推情報/Derived Information』

  ・ある領域に存在するオブジェクトの数
  ・公開領域に存在するオブジェクトの特性の内、共有情報として指定されていないもの
  ・ゲーム・ルールやトーナメント・ポリシー、オラクルその他の現在のトーナメントに
   適用される公式情報。カードはオラクルの文章が印刷されているものとして扱う。

 これらは、全てのプレイヤーに与えられる情報ではあるが、対戦相手に助力を求めずとも
 自分の技能や計算によって得ることができる情報である。
 類推情報について聞かれた場合、プレイヤーは嘘をついたり間違った答えを言ってはならない。
 が、全てを完璧に答える必要はない。
(なぜならば、それは質問者が自力で得ることができる情報だからだ)
 
 オラクル文章やルールそのものに関しては、プレイヤーはジャッジに正確な文章の提示を
 要求することができる。質問された側がそれに関して完璧に答える必要はないが、
 類推情報は全てのプレイヤーに与えられる情報であるからだ。
 ただし、ジャッジに聞いてもそれ以上は答えてくれない。ジャッジは、ゲームの局面に
 関する類推情報を求めることに関しては一切協力をしない。

 2−3)『秘匿情報/Private Information』

  ・共有情報でも類推情報でもない情報

 共有情報でも類推情報でもない情報は、現在見ることのできるゲームの状態や、
 過去のゲームの行動に関する記憶から求められることだけが許されている。
 
 わかりやすい例としては、「数ターン前に効果で見た相手の手札の中身」がある。

 秘匿情報に関しては、プレイヤーは真実を答える必要すらない。
 ただし、プレイヤーは礼儀正しく敬意をもって対戦相手に接しないと、
 非紳士的行為とみなされてしまう。些細なことで語気を荒げることが無い様に。

 
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 3)イイカゲンな問いではイイカゲンな答えしか得られない

質問をする場合には、まず自分の疑問点をはっきりさせないと、欲しい答えが返ってこない。
まあ、これは世間的な常識であるが、M:TGにおける意思疎通においても同じである。

先ほどの情報の分類で、プレイヤーは共有情報について完全に答える義務があり、
秘匿情報については全く(正確に)答える義務は無い。

では、類推情報についてはどうだろうか?

類推情報については「嘘をついたり間違った答えを言ってはいけない」だけであり、
正確かつ完璧に答える必要はないのだ。

従って、プレイヤーの質問の仕方が下手な場合、あやふやな答えが返ってくることもある。

   A「(トークンを指差して)これなに?」
   B「スピリットだよ。」

実際にAの指差したトークンは、《外身の交換/Crib Swap》により出てきた、
1/1の多相を持つ多相の戦士・トークンだった。

この場合、Aがどのような答えを期待して質問したかはわからないが、
少なくともBの答えは間違っていない(それはスピリットでもあるので)
意思疎通規定にも抵触していない適正なものである。

Aはこのように聞くべきだったのだ。

   A’「このトークンはどのカードから出たものでしたっけ?」
   B 「《外身の交換/Crib Swap》だよ。」(過去の行動なので、これは共有情報)
   A’「ジャッジー。《外身の交換/Crib Swap》のオラクルを教えてください。」

これでAは指差したトークンについての情報・・・類推情報を全て手に入れることができた。

プレイヤーが類推情報について聞く場合、求めるのに何が不足しているのか、
どの部分がわからないのか、を理解している必要がある。
さもないと、テキトーな質問をしてしまい、返ってくる答えもテキトーなものになりかねない。

 
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 4)色々な答え方の例

始めのほうに書いた質問を例にとって、どのように答えることができるかを見てみよう。

ゲームの状況は、Bのターンのメイン・フェイズで、見えているカードは以下の通りである。
(Aのカードは省略する)

  ==========================================
  Bの側にあるテーブル上のカード:

   3x《平地/Plains》
   1x《平地/Plains》(タップ状態)
   1x《変わり谷/Mutavault》
   1x《風立ての高地/Windbrisk Heights》
   
   1枚の裏向きのカード
   
   《皺だらけの主/Wizened Cenn》
   《シスルダウンのしもべ/Thistledown Liege》
   《シスルダウンのしもべ/Thistledown Liege》

   テーブルの上にまとめられた、裏向けの2枚のカード

   墓地:
   《シスルダウンのしもべ/Thistledown Liege》、《外身の交換/Crib Swap》
  ==========================================


問4−1) A「(Bの)手札は何枚ですか?」


 手札の枚数は「ある領域に存在するオブジェクトの数」なので、類推情報にあたる。
 なので、Bは完全には答えなくてよい。

 実はAは、裏向きになっている1枚が手札かどうかがわからなかった。
 なので、質問をこう変えた。

  A「(1枚だけ裏向きになっているカードを指差して)これはどの領域にありますか?」
 
 これは共有情報なので、Bは完全にかつ誠実に答えないといけない。
 
  B「ゲーム外領域だよ。」

 Aはこの質問を繰り返して、ようやくBの手札は2枚とわかった。

#Bは最初から「手札は2枚だよ。」と答えてかまわない。それは間違っていないからだ。
#「手札は3枚だよ。」と答えると、それは間違っているので、意思疎通規定違反となる。


問4−2) A「このターンに土地を(Bが)プレイしましたっけ?」

 これは過去のゲームの行動に関する情報であるので、共有情報である。
 なのでBは完全かつ誠実に答えなくてはいけない。

  B「いや、まだプレイしてない。」


問4−3) A「その《変わり谷/Mutavault》はクリーチャーですか?」

 これはオブジェクトの特性を聞いているが、共有情報では規定されていないので、
 類推情報である。従ってBは完全には答えなくてよい。

  B「土地だよ。」

 実際にはBはタップされていた《平地/Plains》からマナを出して、
 《変わり谷/Mutavault》を起動していた。それでも、この《変わり谷》は
 依然として土地でもあるので、Bは間違ったことを言っていない。適正な答えである。

 Aはどう聞けばよいだろうか? 例えば、次のような質問をすればよい。

  A「このターン、その《変わり谷/Mutavault》の起動型能力をプレイしましたか?」

 これはゲームの過去の行動なので、Bは完全かつ誠実に答えなくてはいけない。

  B「うん。このターンのメイン・フェイズに起動した。」


問4−4) A「あなたのコントロールしているキスキンは何体ですか?」

 これは類推情報である。従ってBは完全には答えなくてよい。

  B「キスキンと書かれているのは、3枚だな。」

 前の問いによって、《変わり谷》は自身の能力によってクリーチャーになっている。
 これは全てのクリーチャータイプを持つので、実際には4体のキスキンをコントロール
 していることになるが、それでもBの答えは間違っていないので適正である。


問4−5) A「何枚《しもべ》入れてるんですか? 出すぎですよ。」

 Bのデッキに何枚の《しもべ》が入っているかは、秘匿情報である。
 Bはこの質問に対して何を言ってもかまわない。

  B「わしの《しもべ》は108枚まであるぞ。」

どの情報が共有情報、類推情報、秘匿情報にあたるかがわからない場合、ジャッジを呼べばよい。

 
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 5)『REL:一般』 での情報の取り扱い

RELが一般の大会では、類推情報は共有情報として扱われる。
なので、見えているオブジェクトに関しての質問は、ほとんどの場合、
プレイヤーは完全かつ誠実に答えなくてはいけない。

普通の大会で、4)のような意図的に軸をずらした回答をするのは
無用な混乱の元となるので、極力避けるべきである。
お互いに協力して、ゲームの状態を正確に認識できるようにするのが望ましい。


RELが一般の場合、ジャッジは類推情報を正確にプレイヤーへ説明すべきである。
また、どのようにして類推情報を引き出すかを教育することも重要である。

 
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そんなところで。
次回はPG51について。

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