Magic2010における変更点のメモ書きです。

原文:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/42a
(言語設定を日本語にしていれば、日本語で読めます)

以下の記事は上記記事を参考にしていますが、内容は「第6版ルール」との差異を中心に
おいら的注釈がたっぷり使われていることにご注意下さい。

なお、M10ルールが実施されるのは2009年7月11日からです。(M10プレリリース日)
MOでは7月29日以降に実装される予定です。

#日本選手権本戦はM10ルール下で行われます。

変更点は原文によると7つですが、こちらは7章+2章に分けて書きます。

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 1)同時マリガン
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(第6版ルール)
・先手、もしくは第1プレイヤーがマリガンを行うか否かを宣言してからマリガンを実行する。
 初期手札が決まったら、次のプレイヤーがマリガンを行うかどうかを宣言して同様にする。

(M10ルール)
・先手、もしくは第1プレイヤーからターン進行順に従い、各プレイヤーは順にマリガンを行うか否かを宣言する。
 その後、マリガンを行うことを宣言した各プレイヤーは、同時にマリガンを実行する。


マリガンに関するルールが変更されました。
ゲームの準備の際に、先手側の手札を見ている最中、後手側がテーブルの上に7枚のカードを伏せて
おいてぼーっとしている、といった様な無駄な時間は、これから無くなります。

例)プレイヤーAとBの対戦。先攻はA。

・A、B共に自分の手札を見る。

・A「マリガンします。」
 B「マリガンします。」

・A,B、同時にマリガンを行う。6枚のカードを引き直す。互いに自分の手札を見る。

・A「マリガンしません。」
 B「マリガンします。」

・Aの手札はこれで確定。Aはもうマリガンを行うことはできない。
 Bのみマリガンを行う。5枚のカードを引き直し、手札を見る。

・B「マリガンしません。」

・これで全員の手札が確定したので、ゲームを開始する。


今までと同様に、マリガンをしないことを選択し、初期手札を決定したプレイヤーは、
他のプレイヤーがマリガンをした後から、マリガンを「改めてし直す」ことはできません。

双頭巨人戦について補足しておきましょう。このルールならば以下のようになります。

・チームA(A1、A2)とチームB(B1、B2)が双頭巨人戦でゲームを始める。
 先攻はチームA。
 
・A1「マリガンしません。」
 A2「マリガンします。」
 B1「マリガンします。」
 B2「マリガンします。」

・A1の手札はこれで確定。以後、A1はマリガンを行うことはできない。
 A2、B1、B2はマリガンを行い、7枚の手札を引き直す。(双頭巨人戦での1回目マリガンは7枚)

・A2「マリガンしません。」
 B1「マリガンします。」
 B2「マリガンしません。」

・A2、B2の手札が確定。B1のみマリガンを行う。B1は6枚の手札を引き直す。

・B1「マリガンしません。」

・全員の手札が確定。ゲームが開始される。



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 2)用語の変更
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(第6版ルール)→(M10ルール)

・場/in play → 戦場/Battlefield

・(呪文を)プレイする/play → 唱える/Cast
・(起動型能力を)プレイする/play → 起動する/Activate
・(上記2つ以外の何かを)プレイする/play → プレイする/play

・ゲームから取り除く/Remove from the game → 追放する/Exile
・ゲーム外領域/Removed from the game zone → 追放領域/Exile zone

・ターン終了ステップ/End-of-turn step → 終了ステップ/End step

 
M10の紹介記事で掲載されていたカードの文章を見て、見慣れない用語に気づいたプレイヤーも
おられるでしょうが、基本的な用語の変更がM10で施されることになりました。

これによる機能変更はほとんどありません。単に言葉を入れ替えるだけです。

……まあ、これで済めば楽なのですが、領域名が変わってしまったことにより、
機能変更を受けるカード群があります。

《きらめく願い/Glittering Wish》などの『願い』系カードや、《Ring of Ma’ruf》といった
「ゲームの外部からカードを引っぱってくる」行動は、追放領域のカードを取れなくなりました。

これは、追放領域は「ゲームの内部」であり、今までのように「ゲーム外」にあるものとして
扱われなくなったからです。
今まで通り、サイドボード内のカードや、あなたのバインダーにあるコレクションのカードは
「外部」なので取ってくることはできます。が、《流刑への道/Path to Exile》で追放された
クリーチャーカードを《生ける願い/Living Wish》で取ってくることはできなくなります。

また、プレイ/play という動詞は適宜「唱える」「起動する」に変えられていますが、
それでも呪文や起動型能力以外のものをプレイする場合に、「プレイ」が使用されます。
代表的なのは「土地のプレイ」です。


#(以下私見)
#プレイされるのが呪文か、起動型能力か、それ以外の有象無象か、が動詞によって
#明確になったことにより、妙な省略が行われるかもしれません。
#例えば、《無のロッド/Null Rod》は
# "Activated abilities of artifacts can’t be played." ですが、
# "All artifacts can’t be activated."  とか……
#まあ、さすがにここまでくるとわかりにくいので、そうはしないと思います。


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 3)マナ・プールとマナ・バーン
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(第6版ルール)
・フェイズが終わったとき、プレイヤーのマナ・プールに残っている未使用のマナは失われる。
 こうして失われた1マナごとに、そのプレイヤーは1ライフを失う。

(M10ルール)
・フェイズやステップが終わったとき、プレイヤーのマナ・プールに残っている未使用のマナは失われる。


 
大きな変更の一つとして、マナがフェイズだけでなく、ステップを超えて持ち越すことができなくなりました。

アップキープ・ステップに《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》をプレイされたので、
とりあえず土地をタップしてマナを浮かせておいてから、ドロー・ステップに《炎の投げ槍/Flame Javelin》
を引き、先ほどの《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》にプレイする……というゲーム進行は、
M10ルール下では不可能です。(おっと、その前に「プレイ」じゃなくて「唱える」でしたね)

ドロー・ステップに入った時点で、アップキープ・ステップにマナ・プールに入っていたマナは失われています。

また、これと平行して、未使用のマナが失われる毎に1ライフを失う、いわゆる「マナ・バーン」が
無くなりました。フェイズやステップを超えて未使用なマナがある場合、そのマナは単純に失われます。

かつては雑誌名にもなっていたこともある、用語として完全に定着しているものを廃するので
戸惑いがあるでしょうが、そもそも普通のゲームでマナ・バーンが起こるようなゲーム進行が
ほとんど無いので、わりとすんなり移行できるのではないでしょうか。

この変更による機能変更は様々なカードに影響を及ぼしますが、主に戦術面において
「意図的にマナ・バーンによってライフを減らす」ことができなくなったのが大きいでしょう。

別の面からみると、大量にマナを放出するカードはデメリットが無くなったと言えます。

#《精神隷属器/Mindslaver》のルールで一文が消える点も面白い所ですね。


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 4)トークンのオーナー
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(第6版ルール)
・トークンのオーナーは、それを場に出す 呪文や能力をコントロールしていたプレイヤーである。

(M10ルール)
・トークンのオーナーは、そのトークンが出たときにそれをコントロールしていたプレイヤーである。


 
より直感に等しくなるように変更されました。

プレイヤーAが出した《狩り立てられたドラゴン/Hunted Dragon》で、
対戦相手のプレイヤーBのコントロールで騎士・トークンが3体出ました。

今までは、このオーナーはAだったので、《刻印/Brand》をプレイするとAにコントロールが移りますが、
M10ルールでは、この騎士・トークンのオーナーはBになるので、《刻印》をプレイしても何も起きません。

原文にもありますが、トークンのオーナーが必要になる場合(どちらの墓地にいくか? 等)や
多人数戦でプレイヤーがゲームから外れた場合等に、このルールは効いてきます。


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続きます。

Magic2010における変更点のメモ書きです。

原文:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/42a
(言語設定を日本語にしていれば、日本語で読めます)

以下の記事は上記記事を参考にしていますが、内容は「第6版ルール」との差異を中心に
おいら的注釈がたっぷり使われていることにご注意下さい。

なお、M10ルールが実施されるのは2009年7月11日からです。(M10プレリリース日)
MOでは7月29日以降に実装される予定です。

#日本選手権本戦はM10ルール下で行われます。


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 5)戦闘ダメージはスタックを使わない
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(第6版ルール)
・戦闘ダメージの割り振りは、すべてが単一のオブジェクトとしてスタックに積まれる。

(M10ルール)
・戦闘ダメージ・ステップでダメージが割り振られたら、それはただちに与えられる。
 割り振りの順番は、ブロック・クリーチャー指定ステップで攻撃側プレイヤーが指定した列の順番に従う。
 ブロック・クリーチャーへ致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、
 次のブロック・クリーチャーへダメージを割り振ることができない。


今までのルールと一番異なっているのがこの変更です。

「戦闘ダメージをスタックに乗っけてからxxxx」

という行動はM10ルール下ではできなくなります。
また、ダメージの割り振りも順番が先に(主に攻撃側によって)指定された順になります。
この順番の指定は、ブロック・クリーチャー指定ステップに、1体の攻撃クリーチャーに対して
複数体のクリーチャーのブロックが宣言された場合に、攻撃側が指定します

(逆の場合……《思考の糸の三人衆/Thoughtweft Trio》のように、複数体の攻撃クリーチャーが
 1体のブロック・クリーチャーにブロックされた場合、「防御側が」順番を指定します。

 イメージとしては、1体のクリーチャーが、複数体のクリーチャーを目の前にして
 『さて、どいつから殴るかな。そうだ、まずはお前だ。その次にお前だ。その次に……』
 といった感じです。)


例を挙げて説明しましょう。
原文と同じく、攻撃側(A)は《長毛のソクター/Woolly Thoctar》で攻撃し、
防御側(B)は、《シーリアのエルフ/Cylian Elf》と《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
でブロックを宣言しようとしています。


====================================================
  A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
  B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]
===================================================

 *ブロック・クリーチャー宣言ステップ:

 (第6版ルール)
 ・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
  Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
 ・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
  ↓
  (M10ルール)
 ・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
  Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
  複数体でのブロックを宣言されたので、Aは2体のブロック・クリーチャーが
  ダメージを受ける列の順番を指定する。

 ・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。


 ブロック・クリーチャー指定ステップにおいて、複数体のクリーチャーにブロックされた場合、
 攻撃側が、それらのブロック・クリーチャーに対して順番を決める操作が追加されました。

 原文では(http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1a_LL.png
 1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
 2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
 という順番をAは指定しています。

 この順番を覚えていて下さい。それでは、次に移りましょう。

 *戦闘ダメージステップ:

 (第6版ルール)
 ・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーに好きなように割り振る。
  Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
  これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。
 ・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
  ↓
  (M10ルール)
 ・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーへ
  先ほど指定した順番で好きなように割り振る。
  致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、列の次のクリーチャーへダメージが割り振れない。

  Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
  割り振りが完了した後、その戦闘ダメージが即座に割り振られた様に与えられる。
  ・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。


 今までは戦闘ダメージの割り振りそのものがスタックに積まれていました。
 (スタックに積まれるオブジェクトとしては異質なモノでしたが)

 しかし、M10ルールでは、ダメージを割り振ったら、即座にそれは与えられるようになりました。

 割り振りの際に効いてくるのが、先ほど指定した「ダメージを受ける列の順番」です。

 原文では
 1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
 2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
 という順番をAは指定していたので、結果は以下の図のようになります。
 (http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1b_LL.png

 もしAが順番を逆に指定していたらどうでしょう?

 《死の一撃のミノタウルス》に4ダメージ(=致死ダメージ)を割り振り、
 余った1点のダメージを《シーリアのエルフ》に割り振ることになるでしょう。


 また、今までと異なるのは、戦闘ダメージが即座に与えられるので、
 《巨大化/Giant Growth》や《サマイトの癒し手/Samite Healer》といったカードを有効に使用するには
 戦闘ダメージ・ステップ中ではなく、ブロック・クリーチャー指定ステップ中に、使わなくてはいけなくなりました。

 上の例を少し変えて、差異を見てみましょう。

====================================================
  A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
  B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]

 で、Bの手札には《目かくし/Bandage》があるとします。
 AはBの手札の内容を知りません。
===================================================


(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。

・戦闘ダメージ・ステップにおいて、Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
 A「《死の一撃のミノタウルス》に4点、《シーリアのエルフ》に1点」 と宣言。

・戦闘ダメージがスタックに乗った後、解決前にBが《目かくし》を《死の一撃のミノタウルス》へプレイ。

・戦闘ダメージを解決。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて3点のダメージ。破壊されず。
・A 「orz」 B「(゜Д゜)ウマー」


(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。

・Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
 A「《死の一撃のミノタウルス》が1番目、《シーリアのエルフ》が2番目。」 と宣言。

・戦闘ダメージ・ステップに入ってからでは遅いので、Bはとりあえず《死の一撃のミノタウルス》を対象に、《目かくし》を唱える。

・戦闘ダメージ・ステップの割り振りで、
 A「1点軽減の盾があるから、1番目の《死の一撃のミノタウルス》へ5点。」と宣言。

・戦闘ダメージが直ちに与えられる。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて4点のダメージを受け、破壊される。

・A 「(・∀・)」 B「(´・ω・`)」


 
あくまで一例ですが、複数体でのブロックが行われ、コンバット・トリックが使用された場合に
以前のルールとは戦術的に異なる結果が出ることがあります。

また、原文では先制攻撃や二段攻撃に関する文章はありませんが、WofC公式掲示板によると、
「第1戦闘ダメージステップ」において、先制攻撃または二段攻撃を持つクリーチャーが
ダメージを列の順番に応じて与え、その後にプレイヤーが優先権を得て、呪文や能力を使用できます。
つまり、「第2戦闘ダメージステップ」の前に、コンバット・トリックを使用することができるということですね。
この点は今までと変わりありません。


FIRST STRIKE AND DOUBLE STRIKE

First Strike and Double Strike can and often will result in two combat damage steps.
In the first, First Strike damage will be assigned and resolve. There is a chance to
cast spells and activate abilities before taking care of regular combat damage.
You then take care of regular combat damage and have another chance to cast spells and
activate abilities.


#以下私見。
#順番を決めるという操作は今まで無かったので、異質に見えますが、
#実は、今までやってきたルール下での戦闘結果とあまり変わっていません。
#逆にダメージが割り振られるクリーチャーが見える事により、
#軽減や修整をどこにどの時点で与えるのがか、明解になっている印象を受けました。
#まだ1ヶ月あるので、ドラフトやEDH等でM10ルール下でのゲームを行ってみて下さい。


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 6)接死
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(第6版ルール)
・接死は誘発型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーがいずれかのクリーチャー
 にダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。」を意味する。

(M10ルール)
・接死は常在型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーにダメージを与えられた
 クリーチャーは破壊される。このクリーチャーの戦闘ダメージは、それがブロックしている、
 あるいはそれをブロックしているクリーチャーの中で好きなように割り振れる。」を意味する。


接死能力が誘発型能力から常在型能力に変わりました。
今までは、接死能力をもつクリーチャーがダメージを与えてから、能力が誘発し、
その誘発した能力が解決されて始めて、ダメージをくらったクリーチャーは破壊されていました。

M10ルールでは、接死能力を持つクリーチャーにダメージを与えられた場合、そのクリーチャーは
状況起因効果によって破壊されます。同じ事の繰り返しですが、新しい状況起因効果として

  「前回の状況起因効果のチェック時以降に接死を持つ発生源からダメージを与えられた
   クリーチャーは破壊される。」

が追加されます。致死ダメージによる破壊と同時に起こるので、接死もちから致死ダメージを
受けたクリーチャーは、1回の再生の盾によって破壊を置換することで生き残れます。
(第6版ルールですと、致死ダメージによる破壊で1回、接死による破壊で1回、計2回が必要でした。)

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接死能力には、もう一つ新しい効果が追加されました。
それはトランプルと同様に、戦闘ダメージの割り振りを変更するものです。

前の章で説明した通り、複数体のクリーチャーと1体のクリーチャーがブロックした/された状態に
なっている場合、複数体のクリーチャーの方には、ダメージを割り振られる順番が指定されています。
接死能力はこの順番を無視し、ブロックしている/されている複数体のクリーチャーに対して、
好きなようにダメージを割り振ることができます。

例を挙げましょう。

====================================================
  A:《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》[3/3]、接死
攻撃↓
  B:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》[2/2] 、《灰色熊/Grizzly Bears》[2/2]
===================================================

 (第6版ルール)
 ・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。

 ・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
 「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。

 ・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
  これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。

 ・スタック上の戦闘ダメージを解決する。《レンの地の克服者》の接死能力が誘発する。
  状況起因効果によって、致死ダメージを受けた《レンの地の克服者》は破壊される。

 ・誘発した接死能力を解決する。《シーリアのエルフ》と《灰色熊》は破壊される。

  ↓
  (M10ルール)
 ・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。

 ・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。

 ・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
 「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。
 
 (→接死能力を持っているので、好きなように割り振ってよい)

 ・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
  割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。

 ・状況起因効果のチェックを行う。
  《レンの地の克服者》(致死ダメージを受けている)
  《シーリアのエルフ》(接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
  《灰色熊》 (接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
  以上は状況起因効果によって破壊される。


3体とも破壊されてしまう点で、結果としては同じです。
が、墓地に送られる順番が多少違うので、誘発型能力などが絡むとややこしいことになります。
それでも、落ち着いて適用していけば、対応は可能です。

また、原文にもあるとおり、ダメージが割り振られてからクリーチャーが接死能力によって
破壊されるまでに、プレイヤーは優先権を得ません。
言い換えると、再生能力や軽減能力を使用してクリーチャーを助けたい場合は、
ブロック・クリーチャー指定ステップの間に、それらの能力を使用する必要があります。

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これだけ見ると、『接死もちが与えるダメージは1点で致死ダメージ扱い』という様に見えますが、
それは大きな勘違いです

なぜならば、接死とトランプルを同時に持っている場合に、戦闘ダメージの割り振りは
今までと同様に「全てのブロック・クリーチャーに致死ダメージを与え」ないと、
プレイヤーへ割り振ることができません。接死はダメージを与えたクリーチャーを、
状況起因効果によって破壊しますが、それは「致死ダメージ」とは何も関係ありません。

上の例を変えて説明しましょう。

====================================================
  A:《ロクソドンの戦槌》を装備した《レンの地の克服者》、[6/3]、接死、絆魂
攻撃↓
  B:《シーリアのエルフ》[2/2] 、《灰色熊》[2/2]
===================================================


 (M10ルール)
 ・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。

 ・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。

 ・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
 「《シーリアのエルフ》に2点、《灰色熊》に2点、プレイヤーに2点」と戦闘ダメージを割り振る。
 
 (→トランプルは全てのブロック・クリーチャーへ致死ダメージを割り振らないと、
   プレイヤー又はプレインズウォーカーへダメージを割り振れない。
   「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に1点、プレイヤーに4点」
   と割り振ることはできない。

 ・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
  割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。


絆魂については次の章で説明します。


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続きます。

Magic2010における変更点のメモ書きです。

原文:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/42a
(言語設定を日本語にしていれば、日本語で読めます)

以下の記事は上記記事を参考にしていますが、内容は「第6版ルール」との差異を中心に
おいら的注釈がたっぷり使われていることにご注意下さい。

なお、M10ルールが実施されるのは2009年7月11日からです。(M10プレリリース日)
MOでは7月29日以降に実装される予定です。

#日本選手権本戦はM10ルール下で行われます。


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 7)絆魂
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(第6版ルール)
・絆魂は誘発型能力である。「絆魂/Lifelink」は「このパーマネントがダメージを与えるたび、
 あなたはその点数に等しい点数のライフを得る。」を意味する。

(M10ルール)
・絆魂は常在型能力である。「絆魂/Lifelink」は「このパーマネントがダメージを与える場合、
 さらにあなたはその点数分のライフを得る。」を意味する。


接死と同じく、絆魂も常在型能力になりました。
今までは、絆魂能力をもつパーマネント(主にクリーチャー)がダメージを与えてから、
能力が誘発し、その誘発した能力が解決されて始めて、ライフを得ていました。
ダメージを与えてからライフを得るまでに、ラグがあったのです。

M10ルールではこのラグが無くなり、絆魂持ちがダメージを与えた際にライフを得るようになりました。
これにより、絆魂持ちがブロックに参加しているのに、他の攻撃クリーチャーからダメージを
くらって、回復する前にプレイヤーのライフが0以下になって敗北する、といった事が無くなりました。

例を出しましょう。

====================================================
  A:《シーリアのエルフ》[2/2] 、《灰色熊》[2/2]
攻撃↓
  B:《ロクソドンの戦槌》を装備した《レンの地の克服者》、[6/3]、接死、絆魂
  Bのライフは2。
===================================================

先ほど接死の例で出したものとは攻守が逆転しています。

Bのライフは残り2です。
Aは2体のクリーチャーで攻撃を宣言します。
Bは《レンの地の克服者》で、Aの《シーリアのエルフ》をブロックします。

(第6版ルール)
・戦闘ダメージ・ステップで、戦闘ダメージの割り振りをスタックに載せる。
・スタック上の戦闘ダメージを解決する。《レンの地の克服者》の絆魂能力と接死能力が誘発する。
 が、状況起因効果のチェック時に、Bのライフは0になっているので、Bはゲームに敗北する。

(M10ルール)
・戦闘ダメージ・ステップで、戦闘ダメージを割り振る。
・それらは即座に解決される。

  *《シーリアのエルフ》は2点のダメージを《レンの地の克服者》に与える。
  *《灰色熊》は2点のダメージをBに与える。
  *《レンの地の克服者》は6点のダメージを《シーリアのエルフ》に与え、絆魂能力によって
   Bは6点のライフを得る。

・状況起因効果のチェックを行う。《シーリアのエルフ》は致死ダメージを与えられており、
 かつ、接死を持つ発生源からダメージを与えられているので破壊される。
 この時点でプレイヤーBのライフは6である。(ので、もちろん敗北しない)


このように、絆魂はダメージによる結果を変更します。
ダメージに関する変更は次の章で説明します。

--------------------------------------------------
 8)ダメージ
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(M10ルール)
ダメージは2つの手順に従って進められる。この2つの手順の間には何かを挟む余地はない。

手順1:ダメージが与えられる。ダメージに関する軽減や置換効果はここで適用される。
手順2:与えられたダメージによる結果が発生する。この結果に関する置換効果(ライフや
    カウンターの喪失等)はここで適用される。


原文では絆魂の項目に書いてありますが、M10ルールでの新しい考え方なので章を分けました。

ダメージの考え方について、今までのルールでは萎縮能力やプレインズウォーカーの上の
忠誠カウンターが減ることなどについて、わりと曖昧な部分がありました。

今回のこの変更によって、「ダメージが与えられること」と、「ダメージによる結果」が
整理されて、ダメージによる現象が詳しく追っかけられる様になりました。

手順1では、ダメージは単に与えられます。
ダメージが与えられることを置換する効果(軽減もその一つですね)は、この手順1で機能します。
例えば、プロテクションはこの手順1でダメージを軽減して0にしますし、
《ラースの灼熱洞/Furnace of Rath》は手順1においてダメージを2倍にします。

手順2では、ダメージが与えられたことによる結果が発生します。
原文によると、この「結果」とは以下のようなものを指します。


* プレイヤーにダメージが与えられた場合、そのプレイヤーはその点数に等しい点数のライフを失う。
* プレインズウォーカーにダメージが与えられた場合、そこから点数分の忠誠カウンターが取り除かれる。
* 萎縮を持つ発生源からクリーチャーにダメージが与えられた場合、その点数に等しい個数の
 -1/-1カウンターをそのクリーチャーに置く。
* 萎縮を持たない発生源からクリーチャーにダメージが与えられた場合、その点数に等しい
 ダメージがそのクリーチャーに残る。
* 絆魂を持つ発生源からいずれかのものに対してダメージが与えられた場合、そのダメージの
 他の結果に加えて、その発生源のコントローラーはその点数に等しい点数のライフを得る。


1,2番目はわかりやすいです。ダメージを受けたらプレイヤーのライフは減りますし、
プレインズウォーカーの上にある忠誠カウンターは取り除かれます。

3番目は萎縮能力に関する相互作用を明確にしました。
例えば、萎縮と絆魂を持っている 3/3 のクリーチャーが、《破れ翼トビ/Tatterkite》に
ブロックされた場合、そのクリーチャーは《破れ翼トビ》に3ダメージを与え、(手順1)
萎縮能力により-1/-1カウンターを置きますが、《破れ翼トビ》の能力によってカウンターは
置かれないのでこの部分は無視され、絆魂能力によってプレイヤーは3点のライフを得ます。(手順2)

4番目は奇妙な文章に思えますが、今までと同じです。

5番目は先ほどの章で述べた絆魂の能力です。ダメージの手順2によって絆魂は機能し、
プレイヤーはライフを得ます。


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 9)誘発型能力と常在型能力の違い
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接死、絆魂の2つの能力はM10ルールによって、誘発型能力から常在型能力になりました。

これにより、以下の点で今までと挙動が異なります。

 9-1)能力が重複しない

誘発型能力であれば、複数の接死や絆魂を持っていた場合、条件を満たせばその数だけ誘発して
恩恵を受けることができました。

が、今やこの2つの能力は常在型能力になりました。これにより、複数の接死や絆魂を持っていても
1つの場合と挙動が変わらなくなりました。

 9-2)誘発する必要がない

現在の接死や絆魂は、誘発型能力であるために、以下のような例がありました。

Aのコントロールする《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》が接死と絆魂を持っています。
この《ヴィティアのとげ刺し》の能力をBの《灰色熊》に対して起動します。
スタックの解決前に、BはAの《ヴィティアのとげ刺し》を《恐怖/Terror》で除去しました。
この後、《ヴィティアのとげ刺し》の能力は解決され、1点のダメージが《灰色熊》に
与えられますが、既に《ヴィティアのとげ刺し》は場に無いので、接死、絆魂は誘発しません。

M10ルールでは、これら2つの能力は常在型能力に変わったので、接死や絆魂は機能します。

上の例では、《ヴィティアのとげ刺し》の能力の解決時に、その発生源を参照すると、
それは接死と絆魂を持っているため、Aは絆魂によって1点のライフを得て、
《灰色熊》は状況起因効果によって破壊されます。


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以上がM10ルールでの現時点で公開されている変更点です。

まずはこのルールで遊んでみて下さい。
きっと、「そんなに変わらない」という印象を受けると思います。



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おまけ。


Also, instead of ’summoning sickness’, we can have ’battlefield blues’.


!?!?


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