OGW IPG update.
2016年1月28日 RulingOGWリリースに伴う、IPGの更新点です。
全ての変更点を網羅しているわけではありません。
全文は以下より。
原文pdf) http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_ipg_22jan16_en.pdf
mjmj訳版)http://mjmj.info/data/
IPGは競技REL以上で適用される文書です。店舗で通常行われる一般RELでは、以下の文章に記載されている処理を鵜呑みにしてはいけません。別に規定されている「一般イベント用ジャッジ法(JAR)」を使用して下さい。
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IPG (違反処置指針)
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大きく変化したのは、〔非公開カードに関する誤り〕です。
IPG2.3 非公開カードに関する誤り / Hidden Card Error (HCE)
今回の改訂で新設されました。これまでの〔過剰にカードを引いた〕、〔ゲーム開始時の引き間違い〕、そして以前にあった〔公開忘れ〕のエッセンスを統合したものになっています。
定義にもある通り、この違反は公開されている情報のみではゲームの状況を正すことができない場合に適用されます。
例えば、2枚引くところを3枚引いてしまいました。
手札の中でどれが「本来引くべきでないカード」であるかは、公開されている状態からはわかりません。無理に言い換えるなら、「第三者の目から見て、ゲームの状況を正しく戻せない」となります。
理念の項目に書かれていることも重要です。もう、ゲームを正しく戻すことはできません。先程の例ですと、「3枚目は《山/Mountain》だった。」と主張しても、あなた以外に誰もそれを証明できません。ですので、ゲームを確実に正しく戻すのではなく、誤りを犯したことで利益を得ることができなくなるような追加措置が取られます。
公開情報で修正できるのであれば、それはHCEで処理すべき状況ではありません。他の懲罰を適用しましょう。ほとんどの場合は〔その他一般のゲームルール抵触行為〕(GRV)になると、個人的には思えます。
HCEを適用するかどうかの線引きは、経験を積まないかぎり難しいものでしょう。どこまでの情報を採用し、どうやって元に戻す/戻せないという判断を下すのは、なかなかしんどいです。
そのため、HCEを適用する/しないことに迷ったのなら、その状況を他のジャッジと話し合って下さい。あなたの判断が間違っている/いないということは、問題ではありません。それよりも、他のジャッジと一緒になって経験を積み、HCEに関する知識をより明確にしていくことが大事です。なにせ、HCEはまだ発表されて2週間経ってないのですから!
追加措置はいくつかの段階に分けられます。まずは1文目ですが、これは順序を単に間違えた場合を示しています。例えば、《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》を起動し、基本土地を探してからドローを行ってしまいました。スタックに積まれる順番からすると、ドローが先のはずです。
この場合、過ちを犯したプレイヤーはHCEによる【警告】を受け、ゲームはそのまま続行されます。もう《地平線の呪文爆弾》に関する処理は全て済んでいますし、全体の結果としては適正だからです。
(後のリンク先にある記事内で《かき回すゴブリン》の項目でも触れています。)
HCEの追加措置の核となる部分です。前の版のDECにおける追加措置にあたります。
「あなたは、2枚引くところを3枚引いてしまった」例を挙げましょう。
・『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたの手札 です。
・『過剰なカード、あるいは確認されていないカードの枚数分』= 2枚でなく3枚引いてしまったので、過剰なカードは『1枚』です。
・『元あった領域』 =あなたのライブラリー です。
従って、追加措置は
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。
《ジェイスの誓い/Oath of Jace》を例に挙げましょう。
あなたは、3枚引くところを4枚引いてしまい、気付かずに2枚捨ててしまいました。
この場合、誤り(カードを4枚引いてしまった!)以降に、カードを捨てています。ですので、捨てたカード2枚を手札に巻き戻す、という処理が認められうります。
《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》を例に挙げましょう。
あなたは、《ドムリ・ラーデ》の能力を起動し、ライブラリーの一番上を見て、それを公開せずに手札に入れてしまいました。
この場合、追加措置は
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。その後、《ドムリ・ラーデ》の効果を改めてやり直すことはありません!
結局、あなたはこの過ちにより、単にカードを1枚失い、【警告】を受けます。
厳しいと感じる人もいるかもしれませんが、この違反(旧〔公開忘れ〕)は、以前なら【ゲームの敗北】でした。どう思いますか?
追加措置を適用すると、『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたのライブラリー となる場合があります。その場合、あなたはあなたのライブラリーを対戦相手に公開することになります(!)。
そうされたくない場合、あなたは投了を行うことでこの追加措置がなされることを防ぐことができます。(もちろん、【警告】は受けますよ。)
もう一つ。ゲームの開始時に、手札を多く引いてしまった場合です。
あなたは1回目のマリガン後に、誤って7枚を引いてしまいました。この場合の追加措置は、
・『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたの手札
・『過剰なカード、あるいは確認されていないカードの枚数分』= 6枚でなく7枚引いてしまったので、過剰なカードは『1枚』。
・『元あった領域』 =あなたのライブラリー
つまり、
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。開始前なので、まだマリガンは可能です。手札を見られたくない? ごもっとも。あなたには選択することができます。
「あなたはマリガンを行い、新たに**5枚**引く。」
妥当な場合、マリガンをしてもよい、というのはこのようなときです。
いずれにせよ、HCEにより、過ちを犯したプレイヤーは、【警告】を受けます。
(参考)
HCEに関しては、L5の Toby Elliot さんが、ブログに記事を書いています。手前味噌ですが、それを和訳したものを以下に載せます。
http://blog.mtg.ne.jp/judge_tome/2016/01/ogw-policy-chg.html
http://blog.mtg.ne.jp/judge_tome/2016/01/hce-corner-case.html
IPG3.5. イベント上の誤り ― デッキ/リストの問題
ゲーム開始後にカードをなくしていることに気付き、そのカードがどこにあるのかわかっている場合、ヘッドジャッジは懲罰を【警告】に格下げし、それらのカードをデッキに入れて切り直してもよい、という文が加わりました。
例えば、前の対戦で《絹包み》により追放されたカードが足りない、とわかった場合がこれにあたります。なお、これにより格下げができるのはHJのみです。
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全ての変更点を網羅しているわけではありません。
全文は以下より。
原文pdf) http://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/mtg_ipg_22jan16_en.pdf
mjmj訳版)http://mjmj.info/data/
IPGは競技REL以上で適用される文書です。店舗で通常行われる一般RELでは、以下の文章に記載されている処理を鵜呑みにしてはいけません。別に規定されている「一般イベント用ジャッジ法(JAR)」を使用して下さい。
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IPG (違反処置指針)
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大きく変化したのは、〔非公開カードに関する誤り〕です。
IPG2.3 非公開カードに関する誤り / Hidden Card Error (HCE)
今回の改訂で新設されました。これまでの〔過剰にカードを引いた〕、〔ゲーム開始時の引き間違い〕、そして以前にあった〔公開忘れ〕のエッセンスを統合したものになっています。
定義:
プレイヤーが、公開されている情報だけからは修正できない〔ゲーム上の誤り〕を、対戦相手の承諾なく犯した。
この違反は、未知のカードがその誤りの前後両方とも非公開の場所にあった場合にのみ適用される。
定義にもある通り、この違反は公開されている情報のみではゲームの状況を正すことができない場合に適用されます。
例えば、2枚引くところを3枚引いてしまいました。
手札の中でどれが「本来引くべきでないカード」であるかは、公開されている状態からはわかりません。無理に言い換えるなら、「第三者の目から見て、ゲームの状況を正しく戻せない」となります。
理念:
ゲームの局面を「正しい」ものに戻すことはできないが、この誤りは対戦相手に充分な情報と誤りを正す権限を与えることで、利益を得られなくなるように相殺することができる。
この違反を、派生して修正不能な状況を生み出した公開情報で修正できる誤りに適用しないように注意すること。その場合、元になった問題に懲罰を与え、その追加措置を適用すること。
この違反を適用するにあたって、プレイヤーが覚えているかどうかは考慮せず、実際にどのような情報が公開されていたかだけを考慮すること。以前に公開されていた手札は公開情報ではないが、以前にライブラリーの一番上で公開されていたカードは公開情報である。
理念の項目に書かれていることも重要です。もう、ゲームを正しく戻すことはできません。先程の例ですと、「3枚目は《山/Mountain》だった。」と主張しても、あなた以外に誰もそれを証明できません。ですので、ゲームを確実に正しく戻すのではなく、誤りを犯したことで利益を得ることができなくなるような追加措置が取られます。
公開情報で修正できるのであれば、それはHCEで処理すべき状況ではありません。他の懲罰を適用しましょう。ほとんどの場合は〔その他一般のゲームルール抵触行為〕(GRV)になると、個人的には思えます。
HCEを適用するかどうかの線引きは、経験を積まないかぎり難しいものでしょう。どこまでの情報を採用し、どうやって元に戻す/戻せないという判断を下すのは、なかなかしんどいです。
そのため、HCEを適用する/しないことに迷ったのなら、その状況を他のジャッジと話し合って下さい。あなたの判断が間違っている/いないということは、問題ではありません。それよりも、他のジャッジと一緒になって経験を積み、HCEに関する知識をより明確にしていくことが大事です。なにせ、HCEはまだ発表されて2週間経ってないのですから!
追加措置:
スタック上で保留中の能力によって全体の結果が適正なものになる場合(例えば順序を間違って解決されたカードを引く処理など)、スタックのその部分の解決を続け、ゲームの局面を修復する。
追加措置はいくつかの段階に分けられます。まずは1文目ですが、これは順序を単に間違えた場合を示しています。例えば、《地平線の呪文爆弾/Horizon Spellbomb》を起動し、基本土地を探してからドローを行ってしまいました。スタックに積まれる順番からすると、ドローが先のはずです。
この場合、過ちを犯したプレイヤーはHCEによる【警告】を受け、ゲームはそのまま続行されます。もう《地平線の呪文爆弾》に関する処理は全て済んでいますし、全体の結果としては適正だからです。
(後のリンク先にある記事内で《かき回すゴブリン》の項目でも触れています。)
そうでなければ、そのプレイヤーは修復不能な情報を含むカード群全体を公開し、その中から過剰なカード、あるいは確認されていないカードの枚数分だけのカードを対戦相手が選ぶ。それらのカードは、元あった領域に戻される。元あった領域がライブラリーの場合、無作為の部分と合わせて切り直す。
HCEの追加措置の核となる部分です。前の版のDECにおける追加措置にあたります。
「あなたは、2枚引くところを3枚引いてしまった」例を挙げましょう。
・『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたの手札 です。
・『過剰なカード、あるいは確認されていないカードの枚数分』= 2枚でなく3枚引いてしまったので、過剰なカードは『1枚』です。
・『元あった領域』 =あなたのライブラリー です。
従って、追加措置は
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。
誤り以降に、例えばカードを捨てる、カードをライブラリーの一番上に戻すなどの追加の指示が処理されていた場合、誤りの直後の時点への単純な巻き戻しが認められうる。
《ジェイスの誓い/Oath of Jace》を例に挙げましょう。
あなたは、3枚引くところを4枚引いてしまい、気付かずに2枚捨ててしまいました。
この場合、誤り(カードを4枚引いてしまった!)以降に、カードを捨てています。ですので、捨てたカード2枚を手札に巻き戻す、という処理が認められうります。
この追加措置が適用されたら、そのプレイヤーが違反の元になったその指示や指示の一部を繰り返すことはない。
《ドムリ・ラーデ/Domri Rade》を例に挙げましょう。
あなたは、《ドムリ・ラーデ》の能力を起動し、ライブラリーの一番上を見て、それを公開せずに手札に入れてしまいました。
この場合、追加措置は
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。その後、《ドムリ・ラーデ》の効果を改めてやり直すことはありません!
結局、あなたはこの過ちにより、単にカードを1枚失い、【警告】を受けます。
厳しいと感じる人もいるかもしれませんが、この違反(旧〔公開忘れ〕)は、以前なら【ゲームの敗北】でした。どう思いますか?
この追加措置を避けるため、プレイヤーは投了したり(妥当な場合)マリガンをしたりしてもよい。
追加措置を適用すると、『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたのライブラリー となる場合があります。その場合、あなたはあなたのライブラリーを対戦相手に公開することになります(!)。
そうされたくない場合、あなたは投了を行うことでこの追加措置がなされることを防ぐことができます。(もちろん、【警告】は受けますよ。)
もう一つ。ゲームの開始時に、手札を多く引いてしまった場合です。
あなたは1回目のマリガン後に、誤って7枚を引いてしまいました。この場合の追加措置は、
・『修復不能な情報を含むカード群全体』=あなたの手札
・『過剰なカード、あるいは確認されていないカードの枚数分』= 6枚でなく7枚引いてしまったので、過剰なカードは『1枚』。
・『元あった領域』 =あなたのライブラリー
つまり、
「あなたの手札を対戦相手に公開し、対戦相手はそのなかから1枚を選ぶ。そのカードをライブラリーに戻し、無作為の部分と合わせて切り直す」
となります。開始前なので、まだマリガンは可能です。手札を見られたくない? ごもっとも。あなたには選択することができます。
「あなたはマリガンを行い、新たに**5枚**引く。」
妥当な場合、マリガンをしてもよい、というのはこのようなときです。
いずれにせよ、HCEにより、過ちを犯したプレイヤーは、【警告】を受けます。
(参考)
HCEに関しては、L5の Toby Elliot さんが、ブログに記事を書いています。手前味噌ですが、それを和訳したものを以下に載せます。
http://blog.mtg.ne.jp/judge_tome/2016/01/ogw-policy-chg.html
http://blog.mtg.ne.jp/judge_tome/2016/01/hce-corner-case.html
IPG3.5. イベント上の誤り ― デッキ/リストの問題
ゲーム開始後にカードをなくしていることに気付き、そのカードがどこにあるのかわかっている場合、ヘッドジャッジは懲罰を【警告】に格下げし、それらのカードをデッキに入れて切り直してもよい、という文が加わりました。
例えば、前の対戦で《絹包み》により追放されたカードが足りない、とわかった場合がこれにあたります。なお、これにより格下げができるのはHJのみです。
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