#まずカードを読む。全てはそれから。先入観で判断してはいけない。


それでは、先週の回答。

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問1
かたならし○×。

「今日のFNMのスタンダードで、あるプレイヤー(A)は、間違えてミラディンの傷跡にある《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》をサイドボードに入れてしまっていた。
 この場合、Aのサイドボードはそれらを除いた15枚よりも少ない枚数で続けることになる。」

○か×か?


×

JARの「プレイヤーのデッキに不適正なカードが入っていた、あるいは相手のカードが混じっていた」場合に該当する。つまり、本来あるべきカードがあればそれを入れ、無ければ好きな基本土地を足りない枚数分入れて、正常な枚数にする。

問題の場合、あるべきだったカード、もしくは基本土地を足して15枚にすることになる。少ない枚数で行うことにはならない。

 
問2
Aは《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》をコントロールしている。

Aのメインフェイズに、Aは《ゲラルフの伝書使》を唱え、黒マナの1つを《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》の一番上の能力から出す、と宣言した。

B「じゃあ、追放する土地カードに対して《死体焼却/Cremate》を唱えるよ。」

Bのこの行動は可能か?


可能。

まず、《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》の1番目の能力は対象を取る。なので、これはマナ能力ではない。(CR605.1a)

マナ能力では無いので、《死儀礼のシャーマン》の1番目の能力はスタックに積まれる。
そして解決時に対象の土地カードを追放し、マナが出てくる。

従って、Aが《死儀礼のシャーマン》の1番目の能力に対応して、Bが《死体焼却》を唱えて、対象になった土地・カードを追放し、Aにマナを得させないことができる。


(以下余談)
問題の場合、Aは《ゲラルフの伝書使》を唱えている最中に《死儀礼のシャーマン》の能力を起動しているが、これはそもそもできない。呪文と唱えたり能力を起動している間には、呪文を唱えたり通常の起動型能力を起動することはできず、マナ能力のみが途中の段階で起動できる。(CR602.1f)

この場合、おそらくAはコストを支払う段階でマナが足りず支払えない。従って宣言自体が不正となり巻き戻される。状態は《ゲラルフの伝書使》を唱える前までに戻されることになる。

そのあとで改めてAは《死儀礼のシャーマン》を起動してマナを得ることになるが、先ほどの通り、Bはその能力に対して何らかの対応を行うことができる。


 
問3

秋のトラフト祭り。

PとQがゲームをしている。

以降、Pはアクティブ・プレイヤーで《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》をコントロールしているものとする。

状況1)
Pが《聖トラフトの霊》で攻撃し、天使・トークンを出した。その後、Pは《根生まれの防衛/Rootborn Defenses》を唱え、居住して天使・トークンのコピーであるトークン(A)を出した。

3-1)Aは攻撃している状態だろうか?
3-2)Aは戦闘終了時に追放されるだろうか?

状況2)
Pは《似通った生命/Parallel Lives》もコントロールしている。

Pが《聖トラフトの霊》で攻撃し、天使・トークンを出した。

3-3)天使・トークンは何個出るか? それらは攻撃している状態だろうか?
3-4)それらのトークンは戦闘終了時に追放されるだろうか?

状況3)
この1つ前のターン、Qは《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》の一番上の能力を起動している。

Pが《聖トラフトの霊》でQ本体を攻撃し、天使・トークンを出した。

3-5)この天使・トークンはQの《思考を築く者、ジェイス》を攻撃できるだろうか?
3-6)この天使・トークンのP/Tを答えよ。


3-1)攻撃している状態ではない。
3-2)追放されない。

居住により生成されるトークンは、選んだトークンのコピーである。

「攻撃クリーチャーである」ことはコピー可能な能力ではない。

また、《聖トラフトの霊》により出された天使・トークンは、それを生成した能力--つまり、《聖トラフトの霊》の誘発型能力--によって、遅延誘発型能力が誘発し、解決時にその能力によって出た天使・トークンが追放される。

居住によって出たトークンは、《聖トラフトの霊》によって出たトークンとは別物なので、追放されることはない。


3-3)2個。それらは攻撃している状態である。
3-4)2個とも全て追放される。

《似通った生命》により、《聖トラフトの霊》の誘発型能力によって出てくる天使・トークンは1個でなくて倍の2個になる。それ以外は全て1個のみの場合と同じである。

従って、それらは攻撃している状態で出てくるし、戦闘終了時の遅延誘発型能力によって、全て追放される。


3-5)《思考を築く者、ジェイス》を攻撃できる。
3-6) 4/4

《聖トラフトの霊》の天使・トークンのように、クリーチャーが攻撃している状態で戦場に出る場合、そのコントローラーは、それが戦場に出るに際してどの防御プレイヤー、あるいは、防御プレイヤーがコントロールするどのプレインズウォーカーを攻撃するのかを選択する。(CR508.4)

従って、天使・トークンは《思考を築く者、ジェイス》を攻撃先として選ぶことができる。

また、《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》の1番目の能力は

+1: Until your next turn, whenever a creature an opponent controls attacks, it gets -1/-0 until end of turn.

なので、これは、1体のクリーチャーが攻撃クリーチャーに指定されたことによって誘発する遅延誘発型能力である。つまり、攻撃している状態で出てくるクリーチャーに関してはこの能力は誘発しない。

従って、天使・トークンは3/4ではなく4/4である。


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そんなところで。

コメント

LC
2012年10月9日22:19

問2が興味深いため質問させていただきます。
問2で唱えたスペルがたとえば熟慮のような適当なインスタントだったとします。
で、今回も唱える宣言時にシャーマンの能力を起動しようとしました。ですが、ルール的にできないので巻き戻るのはいいのですが、あせってあいてプレイヤーが対応して死体焼却をプレイしようとしました。
質問1 ここでジャッジはどういう判定を下すべきですか?
質問2 ここでジャッジがシャーマンの能力を起動できないため熟慮プレイの宣言前にまき戻すように判定しました。この後、熟慮プレイヤーが死体焼却をケアしてそのターン熟慮をプレイしないのは非紳士的ですか?
よろしくお願いします。

testing
2012年10月9日23:51

1) 不正な処理として巻き戻るので、この場合に優先権は《熟慮》を唱えようとしたプレイヤーに戻ります。そのプレイヤーが優先権を放棄しない限り、他のプレイヤーは何も出来ません。
他のプレイヤーがなにかしようとした場合、それは本来できない行動なので、それらを行わなかったものとしてゲームの状況を元に戻します。

2) 処理が取り消され、状況が巻き戻った場合、そのプレイヤーは先程の処理を繰り返すことも、また別の処理をすることも、パスすることも選んでかまいません。(CR717.2)


#なお、IPG的な非紳士的行為は、ゲームにおける優位性を求める行動とは異なります。
#対戦相手を挑発したり、相手に懲罰を与えさせようとする要求などが非紳士的行為にあたります。

LC
2012年10月10日1:46

なるほど、ありがとうございました。非常に分かりやすくてありがたいです。
ただ、この理論を発展させると
土地から5マナ シャーマンという場で6マナのカードのプレイを宣言して、特に土地を寝かせたりせずにとりあえずプレイするプレイヤーなどもいるとは思うのですが、
これに対してカウンターを打ってしまうプレイヤーも少なからずいると思います。この際にまだ、マナ払えてなかったから巻き戻します→カウンターあるのでプレイしませんなどといった優位性を得ることも可能かと思います。
これは健全なゲームとは思いにくいのですがどうでしょうか?

testing
2012年10月10日9:13

どこで打ち消し呪文を唱えたか? によると思います。

AP側は《死儀礼のシャーマン》からマナを出し、6マナの呪文を唱えたいのでしょう。

NAP側は唱えられた6マナのカードを打ち消したいことは明白でしょう。
また、《死儀礼のシャーマン》の能力には対応が可能ではありますが、
その能力に対応しないことがほとんどでしょう。

つまり、互いのやりたいことは以下のようになり、それぞれの意図は明白です。

1)APが《死儀礼のシャーマン》の能力を起動し、土地カードを追放してマナを出す。
2)AP6マナの呪文を唱える。
3)NAPがそれに対して打ち消し呪文を唱える。

NAPは1)の行動に対して対応することができます。

対応せずそのままゲームを続けることには問題ありません。
また、一般の大会であれば、このような状況はすぐ直せるので、土地カードを追放させて打ち消し呪文をスタックに乗せた状態でゲームを続行するでしょう。

そもそも起動できず(墓地に土地カードがない、起動型能力が起動できない等)、結果として呪文が唱えられない場合は、全てを巻き戻すことを選ぶことになります。

#健全なゲームというのがどういうのかはわかりませんが、
#マナ能力のみの場合でも同じようなことは起こります。
#《森/Forest》1枚が立っている場合に、APが《極楽鳥》を手札から見せて唱えます。
#NAPはそれに対して《精神的つまづき》を唱えますが、APはまだ《森》をタップしていません。
#NAPの行動を見てから、APが「《森》からマナを出しません。《極楽鳥》は不正な宣言なので巻き戻ります。」
#これはAPが意図的にマナの支払いを遅らせて対戦相手の対応を見ている、と判断できる十分な材料になります。
#このようなことをしないようにジャッジはそのプレイヤーに対して指示するでしょう。

nophoto
通りすがり
2012年10月10日17:24

問2について質問です
例えば唱えようとしたスペルが《火の玉》のようなXを含む呪文で指定したマナが支払えない場合は純粋に巻き戻しになるのですか?
それともxを支払える値に変更し唱えたことになるのですか?

よろしくおねがいします。

LC
2012年10月10日17:31

なるほど、わかりました。どうもありがとうございました。

testing
2012年10月10日18:07

>《火の玉》などXコストの呪文

Xを宣言した上で結局足りない、というのであればそれは通常の呪文の場合と同じです。

Xを何も宣言せずに唱えていたのであれば、マナ・プールのマナを全て使用したものとして仮定されます。(MTR4.2)

一般の大会であれば、呪文を唱える際の手続きを教えて、Xの値をきちんと宣言させたうえで、十分なマナを準備しておくように指導するでしょう。

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