新しいCRが発表されましたので、2011年5月1日CR更新分のざっくり訳をお届けします。
参照する項目のナンバリング振りなおしや細かい文法、言葉、記号の変更などは表記しません。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/141a&page=4
なお、2月→4月 の更新分は、双頭巨人戦の毒カウンターや増殖に関するものだけなので割愛します。
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青文字は既存の変更、赤文字は新規項目です。
・103.5 (手札決定後、開始前に取れる行動)
《ドロスの大長/Chancellor of the Dross》のように、開始時の手札にあった場合に行える行動が増えたので、そのような場合の処理が細分化されました。
*《処罰の力線/Leyline of Punishment》のように、戦場に出した状態でゲームを始められるカードが手札にあった場合、それを出しても良い。
*《ドロスの大長/Chancellor of the Dross》のように、ゲームの開始時に公開しても良いというカードがあれば、それを公開してもよい。それはゲームの最初のターンが始まるまで公開され、1枚につき1度しか公開できない。
以上のことを任意の順番で、好きなだけ行えます。その後、ターン進行順に以後のプレイヤーが同じことをします。
例えば、《溶鉱炉の大長/Chancellor of the Forge》を公開し、《活力の力線/Leyline of Vitality》を置いたあと、《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》を運勢カウンターが乗った状態で出し、先ほど公開した《溶鉱炉の大長/Chancellor of the Forge》を追放する、ということも可能です。
・104 (ゲームの終了)
ゲームが再び開始される状況ができましたので、この項目は「勝ちと負け」から、「ゲームの終了」に項目名が変更されました。
・104.6 (ゲームが再び開始される)
あるカード(《解放された者、カーン》)によってゲームが再び開始される場合、今のゲームは即座に終了することが、新規に追加されました。
・106.9 (ファイレクシア・マナがマナ・プールに入る)
効果がファイレクシア・マナ・シンボルで示されるマナをマナ・プールに加えるように指示した場合、それはそのシンボルが示す色のマナ1つをマナ・プールに加えます。
例えば、{W/P} というマナ・シンボルで示される場合、{W/P}がマナ・プールに入ることはなく、{W}が加えられます。2ライフではありません。
・107.4 (マナ・シンボル)
ファイレクシア・マナ・シンボル {W/P}, {U/P}, {B/P}, {R/P}, {G/P} が加えられました。
・107.4f (ファイレクシア・マナ・シンボル)
ファイレクシア・マナ・シンボルは示された色のマナ1つもしくは2ライフで支払えることが書き加えられました。
・107.4g (テキスト内のファイレクシア・シンボル)
テキスト内に{P}がある場合、5色のファイレクシア・マナ・シンボルのうち任意のものを指す、ということが書き加えられました。 例)《憤怒の抽出機/Rage Extractor》
・107.11 (次元カードのプレインズウォーカー・シンボル)
プレインズウォーカー・シンボルの表記が、{P} から {PW} になりました。
・112.6h (カウンターを 配置できない/"can’t be placed")
オブジェクトにカウンターを配置できないという能力は、該当するオブジェクトが戦場に移動する場合、もしくはそのオブジェクトが戦場にある場合に機能する、ということが新たに加えられました。
例)《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》+《刻まれた大怪物/Etched Monstrosity》
例2)頑強能力がついていて戻ってくる《破れ翼トビ/Tatterkite》
・114.3 (同一の"target"を複数回取れない)
「[何か]2つを対象とし~」という表現の場合、2個の対象を同じオブジェクトにすることはできません。
今回の更新で、対象を変更したり、新たに対象を決める際であっても、同じことが適用されるようになりました。
例)《核への投入/Into the Core》の2つの対象を、2つとも《呪文滑り/Spellskite》に変更することはできません。(うち1つなら可能です)
・114.6b (対象1つを変更する)
「それの対象1つを変更する/change a target」とある場合、対象の変更はその前の項目にある114.6aに準じますが、変更できる対象は1つだけということが加えられました。 →《呪文滑り/Spellskite》
・114.6e (対象変更の最終型を見る)
対象を変更した、もしくは新たな対象を選択した場合、最終的に決定された対象の選び方を見て、それが適正ならば、その対象変更/新規選択は適正である、ということが加えられました。
例)《電弧の痕跡/Arc Trail》を《ルーン爪の熊》に2点、《極楽鳥》に1点、という対象を取って唱えました。その後、《移し変え/Redirect》を《電弧の痕跡》に唱え、解決時に対象を「《極楽鳥》に2点、《ルーン爪の熊》に1点」というように変更するのは適正です。
・117.7d (コストが減る場合)
ファイレクシア・マナ・シンボルで示されるある量のマナがコストから減る場合、そのシンボルで示される色のマナが減ることになります。
・120.4, 608.2d (ライブラリー切れでカードを引く)
空のライブラリーからカードを引こうとしたプレイヤーはゲームに敗北しますが、単に「空の」だけでは、トークンがライブラリーにあるような場合に妙なことになります。→《奉納/Oblation》
そこで、「空の」という言い回しでなく、「カードがないライブラリー/library with no cards in it」という文体になりました。
・121.2 (領域変更によってカウンターが持続しない)
領域を移動したオブジェクトに乗っていたカウンターの類はそのまま留まりません。が、このことを明確にCR上で示している項目はありませんでした。
今回の更新で、領域を移動したオブジェクトに乗っていたカウンターの類は単に消滅することが明確化されました。このカウンターは「取り除かれた」わけではなく、単に消滅しただけです。
・121.6 (カウンターが配置されることを参照する)
カウンターが配置されることを参照する呪文や能力は、
*そのパーマネントが戦場に出ている間にカウンターが置かれること
*そのパーマネントがカウンターの乗った状態で戦場に出ること
の両方を参照しますが、戦場に出る場合は、置換効果を全て適用した後に参照できるかどうかを見る、と改められました。
・202.1a (マナ・コスト)
右上に印刷されているマナ・コストは、唱えるために消費するべきマナを示しています。
もちろん、これには色も正しくなくてはいけませんが、ファイレクシア・マナ・シンボルがあると
コストで支払うマナの色と、マナ・コストの色が一致するとは限りません。
ですので、今回この項目は「ファイレクシア・マナ・シンボルを除き~」と直されました。
・202.2d (マナ・シンボルと色)
ファイレクシア・マナ・シンボルで示される色が追加されました。
・202.3d (点数でみたマナ・コスト)
各ファイレクシア・マナ・シンボルの点数で見たマナ・コストは1であることが加えられました。
・204.3i (プレインズウォーカー・タイプ)
カーン/Karn が追加されました。
・204.3k (クリーチャー・タイプ)
法務官/Praetor が追加されました。
……ところで《Ebon Praetor》とか《血なまぐさい法務官/Sanguine Praetor》とかはPraetorにならないんですかね。(無理かなー
・206.3 (アイコン)
ミラディンの傷跡ブロックが完結したので、エキスパンション名を直接表記していた部分がブロック名称に改められました。
・301.7 (装備品と城砦)
・303.4i (オーラ)
Melvinのお時間です。
《マイアの溶接工/Myr Welder》が《悪魔骨の鞭/Demonspine Whip》と、
《異形化するリシド/Transmogrifying Licid》を追放しています。
《異形化するリシド》由来の能力を起動し、《コーの決闘者/Kor Duelist》につけたとしましょう。
さて、オーラになってつけられた《マイアの溶接工》は、《悪魔骨の鞭》の持つ起動型能力
「{X}:装備しているクリーチャーはターン終了時まで+X/+0の修整を受ける。」
を持ちますが、この能力を起動して《コーの決闘者》に修整を与えることができるでしょうか?
与えることができる、と考えた方にはもう一つ。《コーの決闘者》は装備しているかぎり
二段攻撃を得ますが、この《コーの決闘者》は二段攻撃を得ているでしょうか?
つけられているのはあくまでオーラであって装備品ではありません。
しかし、先程の能力で装備しているクリーチャーを参照しています。さあ困りました。
今回の更新で、装備品でないパーマネントが「装備しているクリーチャー」を参照する能力を持つ場合、それは何も参照していないことになりました。城砦化、オーラも同様です。オーラでないパーマネントが「エンチャントされている(何か)」を参照しても、それは何も参照しません。
上の例ですと、《悪魔骨の鞭》由来の能力を起動することはできますが、装備しているクリーチャーは参照できないので、何も起きません。また、《コーの決闘者》は二段攻撃を持ちません。
・400.6 (オブジェクトの領域移動)
オブジェクトが公開領域に移動する場合、そのオーナーのみならず、全てのプレイヤーは、「戦場に出る際に~」といった置換効果など、その移動に影響を及ぼす能力が存在するかどうかを見ることができるようになりました。
例えば、《実物提示教育/Show and Tell》であなたが《ルーンの光輪/Runed Halo》を出す場合、対戦相手が何を出すかを見てから、《ルーンの光輪》のカード名を指定することができます。
・506.3c, 508.4a (攻撃クリーチャーとして出たけれど…)
攻撃クリーチャーとして戦場に出るけれど、その攻撃先のプレイヤーが既にゲームから離脱していたり、攻撃先のプレインズウォーカーが存在しなくなったり、プレインズウォーカーでなくなっていたりしていた場合、そのクリーチャーは戦場に出るけれども、もう攻撃クリーチャーではありません。
これらは主に忍術/Ninjutsu の起動に対応した場合に起こります。
・506.6e (特定の時点のみ唱えたり起動できたりする)
ポータルのカードでよく見られる、「攻撃クリーチャーが指定される前にのみ唱えられる/起動できる。」という呪文や能力は、戦闘フェイズが飛ばされていると、該当するフェイズ/スキップが無いために唱えるたりすることができません。
今回の改正では、そのような能力があって、戦闘フェイズが飛ばされている場合、戦闘前メイン・フェイズに唱えたりすることができるようになりました。
・607.2e (関連している能力)
アークエネミーの計略カードにある、「self」または「other」を選ばせるように、時としてそれ自体に意味はない単語や文節をプレイヤーに選ばせることがあります。このような場合、後に出てくる文章とそれらは関連しています。
・614.13 (領域を移動させる置換効果)
《縫合グール/Sutured Ghoul》のように、パーマネントが戦場に出る際に、他のオブジェクトに対して領域移動をひきおこさせる効果があります。このような場合、その効果の出処であるオブジェクト自身を領域移動させることはありません。
例えば、《縫合グール/Sutured Ghoul》が墓地から戦場に出る際に、自身の置換効果で《縫合グール/Sutured Ghoul》自体を墓地から追放することはありません。
・713 (ゲームを再び開始する)
《解放された者、カーン》の3番目の能力、「ゲームを再び開始する」という項目がまるまる1つ新規に作成されました。
大抵はNPHのFAQに書かれている通りなので、各項目を端折って書きます。
713.1
1枚のカード(《解放された者、カーン》)はゲームを再び開始する効果を生成する。ゲームが再び開始される場合、現在のゲームは即座に終了する。そのゲームは誰の勝ちでも、負けでも、分けでもない。現在のゲームが終了し、そして新しくゲームが開始される。ゲームの開始はCR103に従うが、以下の相違点がある。
713.1a
ゲームを再び開始した呪文もしくは能力のコントローラーが、新しく開始させるゲームの開始プレイヤーとなる。
713.2
ゲームの終了時における全てのマジックのカードが、新しいゲームに使われる。フェイズ・アウトしているパーマネントや、定形外のマジックのカードでも、例えそれがもともと使われていなかったものであったとしても、使われる。
例)《生ける願い/Living Wish》が解決され、ゲームの外部からクリーチャー・カードを使用していた場合、新しく開始されたゲームでは、そのクリーチャー・カードがライブラリーに入れられる。
713.3
新しいゲームの開始時にライブラリーが7枚未満で、7枚の手札を引けなかった場合、状況起因処理のチェックで敗北する。マリガンを何回行ったかは関係ない。
713.4
ゲームを再び開始するという効果自体は、最初のプレイヤーのアンタップ・ステップを迎える直前で完了する。元々の呪文や能力がそれに加えて何かを行う場合、この時点でそれが行われる。プレイヤーは優先権を得ず、誘発した能力は次にプレイヤーが優先権を得るときにスタックに積まれる。
713.5
ゲームを再び開始する場合に、その効果自体から別にされるカードがある。それらはオーナーのライブラリーに切り混ぜられることはない。
713.6
サブゲームが再び開始されるようになった場合、それはメインゲームには何の影響も及ぼさない。
新たなサブゲームでの勝ちや負けが、メインゲームでの効果を反映する。
713.7
多人数戦で影響範囲限定の選択ルールを使用していて、ゲームを再び開始する場合、全てのプレイヤーがゲームを新しく始める。影響範囲には関係ない。
・801.11 (影響範囲)
影響範囲が1の6人による多人数戦での例が書かれていますが、2つ目の例は直されます。
Frank - Alex - Rob の順番で座っていて、Alexが《旗印/Coat of Arms》を出したとします。
Alexのクリーチャーは、自分に加えFrankとRobのクリーチャーも参照して修整を得ます。
Robのクリーチャーは、Alexの《旗印/Coat of Arms》の影響を受けるので、
自分(Rob)、Alex、それにFrankのクリーチャーも参照して修整を受けます。
・801.19 (影響範囲とゲームを再び開始する)
先程のCR713の通り、「ゲームを再び開始する」効果は、影響範囲ルールから免除されます。
・903.6 (統率者戦)
統率者戦を始める時に、統率者はライブラリーもしくはその側に居るように書かれていましたが、
統率者は統率領域に置かれた状態で始まることが明記されました。
これは、《解放された者、カーン》によって統率者が追放されていた場合に起こりうることです。
《解放された者、カーン》の3番目の能力によってゲームを新しく始める場合、追放された統率者はデッキ(ライブラリー)に戻らず、追放されたままであり、開始時から戦場に帰ってきます。
用語集については割愛します。
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そんなところで。
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