新しいCRが発表されましたので、2011年2月4日CR更新分のざっくり訳をお届けします。
参照する項目のナンバリング振りなおしや細かい文法、言葉、記号の変更などは表記しません。
http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/feature/127a&page=4
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青文字は既存の変更、
赤文字は新規項目です。
・107.8 (レベルup)
参照しているCR項番にtypoがあったので修整されました。
・114.6c (新しい対象を選ぶ)
このルールは改良されました。不適正となる対象を新しく選ぶことは今まで通りできません。
さらに、対象を選び直したことで、(対象を選びなおさなかった)他の対象が不適正になる場合、
そのような対象の選び直しはできません。
例として《焼尽の猛火/Searing Blaze》を挙げましょう。
AがBとBのコントロールするクリーチャーを対象に《焼尽の猛火》を唱えました。
その後、Bがなんらかの効果で《焼尽の猛火》の対象を変更する場合、
クリーチャーの対象部分を、Aのコントロールするクリーチャーへ変更することはできません。
それは、対象がのコントロールするものではないことからも不適正です。
では、対象をプレイヤーBからAにすることはどうでしょうか?
……旧CRでは適正でした。変えようとする対象(プレイヤー)には制限が無く、
その他の対象(そのプレイヤーのコントロールするクリーチャー)がどうなろうとかまわなったのです。
しかし、これは新CRで改められました。
《焼尽の猛火》の対象をプレイヤーBからプレイヤーAに変更するだけ、ということはできません。
#上の例のようにAが唱えた《焼尽の猛火》を、Bが《移し変え/Redirect》で対象を変更する場合、
#「プレイヤーの対象をA、クリーチャーの対象をAのコントロールするクリーチャー」
#としか変更ができません。
#まとめると
#◯「プレイヤーの対象をB、クリーチャーの対象をBのコントロールするクリーチャー」(オリジナル)
#×「プレイヤーの対象をB、クリーチャーの対象をAのコントロールするクリーチャー」(そもそも無理)
#×「プレイヤーの対象をA、クリーチャーの対象をBのコントロールするクリーチャー」(不可能になった)
#◯「プレイヤーの対象をA、クリーチャーの対象をAのコントロールするクリーチャー」(適正)
・120.7 (置換してカードを引くこと)
このルールはかつての《ブリン・アーゴルの白鳥/Swans of Bryn Argoll》を機能させるために
加えられたが、現在の文章では、《ブリン・アーゴルの白鳥》の最後の行は置換効果ではない。
よって、このルールが機能しないので、「軽減効果によって~」という部分が加えられました。
《ブリン・アーゴルの白鳥》の機能自体に変更はありません。
・121.1c (毒カウンター)
"毒を受けている/poisoned" という表現が定義されました。
・204.1a (タイプ行)
文言の変更。
・204.1b (タイプが残る場合)
以前のカードタイプ等が残る場合の表現が、
「[カード・タイプ]でもある/still a [カード・タイプ]」 から
「[カード・タイプ、特殊タイプ、サブタイプ]でもある/still a [type, supertype, or subtype]」
となりました。
・204.3k (クリーチャー・タイプ一覧)
Germ/細菌 が新規に追加されました。
Gremlin/グレムリン が復活しました。
・305.7 (土地がいずれかの基本土地タイプになる)
旧CRでは、土地がいずれかの基本土地タイプに変わった場合、その土地は元からのテキストを失って
基本土地タイプ由来の文章を持つようになります。しかし、厳密に土地タイプが「変わる」必要は
無く、単に基本土地タイプに「なる」だけでそのようになるべきです。
例えば、《惑いの迷路》に《広がりゆく海》をつけると、《惑いの迷路》のサブタイプは島になり、
本来のテキストを失い、《島》由来のルール文を持ちます。
一方、サプタイプが変わらない場合、つまり島というタイプを始めから持つ
《月の輪の島/Moonring Island》に《広がりゆく海》を付けた場合、
サプタイプは何も「変わり」ません。つまり、旧CRだと、この《月の輪の島》は
本来のテキストを持ち続けるように解釈できてしまいます。
これは直感に反していますので、前述のようにCRが変更されました。
・508.1d, 509.1c (攻撃/ブロック 強制)
クリーチャーが攻撃(またはブロック(以下略))をすることが強制されていた場合、
旧CRではタップ状態のクリーチャーや、攻撃するのにコストが必要なクリーチャーは、
その強制を無視することができました。
しかし、このルールは改められ、攻撃が強制されていたとしても、
攻撃するためのコストを支払わないことを選んでよい、というようになりました。
例を出しましょう。
あなたの側には、可能ならば毎ターン攻撃しなくてはいけない《血の峠の狂戦士》がいて、
対戦相手が《プロパガンダ/Propaganda》と《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》をコントロール
している場合、旧CRですと、{2}を支払うことは強制でないので、《血の峠の狂戦士》は
攻撃強制を無視してそのまま攻撃せずにつっ立っておくことができます。
が、現在のCRでは、《血の峠の狂戦士》は{2}を支払って対戦相手に攻撃するか、
もしくは《ジェイス・ベレレン》に攻撃するかのいずれかを選ばなくてはいけません。
・613.7c (依存関係の逐次確認)
ある一つの効果を適用した後で、まだ適用されていない効果に対して新たな依存関係が
再構築された場合、適用順番は先の適用順から変更されうることが明確化されました。
#ちょっと具体的な例が思いつきません。《生命と枝/Life and Limb》からみだとは思うのですが。
・614.5 (置換効果の適用は一度きり)
置換効果が適用されるのは一度きりであることが強調されました。
また、既に他の置換効果を受けて改変されたイベントも(条件が合えば)置換できることが追記されました。
・701.15d (切り直す)
1つ以上の特定のオブジェクトをライブラリーに加えて切り直す効果があります。
このとき、置換効果や軽減効果によって、そのオブジェクトがライブラリー領域以外の領域へ
代わりに置かれる場合、ライブラリーは切り直されません。
例として、墓地にある《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》に、フラッシュバックを持たせて
墓地から唱えた場合、解決時にその《黒の太陽の頂点》は追放されて追放領域におかれるので、
ライブラリーを切り直すことはありません。
#《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》は意味なく2回シャッフルをさせるのではありません。
#もし《緑の太陽の頂点》でサーチした際に、切り直すという記述が無かったら……、
なお、この701.15dが追加されたことにより、701.15e以降はアルファベットが一つずつ後ろになっています。
・702.6a (装備品)
装備能力の内容が、
「[コスト]:あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、この装備品を~」
という文章から、
「[コスト]:あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、このパーマネントを~」
と変更されました。
・702.88 702.89 (MBS新キーワード)
新キーワード能力、喊声/Battle Cry と、生体武器/Living Weapon が追加されました。
・706.8d (コピーの修整と例外)
コピー効果で元の特性の一部をコピーしない場合、コピー先の特性定義能力を考慮した後で
維持されるべき特性が変化してしまう場合、そのような特性定義能力はコピーされない。
というルールが追加されました。
わかりづらいので例を挙げましょう。
《水銀のガルガンチュアン/Quicksilver Gargantuan》が《タルモゴイフ/Tarmogoyf》のコピーに
なって戦場に出た場合、旧CRでは コピー効果を考えた段階では7/7なのですが、
《タルモゴイフ》由来の特性定義能力により、P/Tは墓地にあるカードによって上下していました。
が、新CRでは、「7/7のまま」であることがコピー効果の一部なので、コピーした結果P/Tが
変更されてしまう《タルモゴイフ》由来の特性定義能力は、コピーされません。
つまり、このコピー《タルモゴイフ》は、能力を持たない 7/7 となります。
#Update Bulletin原文には、《Vesuvan Doppelganger》+《ギルド渡りの急使/Transguild Courier》
#について同じような例がありますが、「能力は持っているけどそれを無視する」と書かれています。
#《ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphs》などで問題になりますが、
#CR文章の方が優先されるので、おそらく維持すべき特性を変更する特性定義能力は、
#コピーされない(=持たない)と考えるべきでしょう。
・712.1a (『ターンを終了させる』処理)
処理の最中に、戦場(とスタック)領域以外にある、カードで示されていないオブジェクトが
全て消滅するという指示がありましたが、これでは統率領域にある紋章も無くなってしまいます。
そのため、この部分は戦場と統率領域以外にある~という文に書き換えられました。
・統率者戦/Commander
EDHは統率者戦と名称が変わりました。将軍/General も統率者/Commander となります。
CR全域に渡って、EDHはCommanderという名称に変わりました。
・903.4 (固有色)
統率者デッキの構築に際し、使える色を右上のマナ・シンボルの色のみで判別していました。
が、これからは統率者として選んだカードの右上のマナ・シンボル、ルールテキスト本文、
そして特性定義能力による色を加味した「固有色/Color identity」という考え方になります。
つまり、統率者デッキに入るカードの色は、固有色にある色でなくてはいけません。
また、注釈文は固有色を見るときには無視されます。
例)《鉄のゴーレム、ボッシュ/Bosh, Iron Golem》は、テキスト文に{3}{R}があるため、
固有色は『赤』のみです。《鉄のゴーレム、ボッシュ/Bosh, Iron Golem》を統率者とした
統率者デッキは、固有色が赤(または無色)のカードのみを入れることができます。
また、《三なる宝球/Trinisphere》は、注釈文に{B}が書かれていますが、固有色は黒ではありません。
・903.5d (統率者デッキの土地タイプ)
以前のルールでは将軍の色に合わない基本土地カードを入れることはできませんでしたが、
色にあわない基本土地タイプを持つカードは入れることができました。
これは改められ、固有色の色に対応しない基本土地タイプを持つ土地カードは、
統率者デッキに入れることができない、とされました。
例)《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》の固有色は赤と緑です。
基本土地タイプが山もしくは森を持つカードは入れることができますが、
基本土地タイプが平地、島、もしくは沼を持つカードは入れることができません。
◯《Taiga》
◯《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
×《Savannah》
×《Underground Sea》
×《沼/Swamp》
・用語集
喊声、生体武器が追加されました。
EDHやそれに関する項目は統率者戦に変わりました。
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そんなところで。
コメント
Update Bulletinをリンクしていただいたときに、リンクさせていただきましたが挨拶忘れてました。すいません。
>613.7c
文章変更効果の連鎖がわかりやすい例かと
《山》に (A)山→森、(B)森→島、(C)島→平地という三つの文章変更効果が適用されているとき
AはBに依存していますが、CはまだBに依存してなく、Aが適用されてから依存関係が発生します。
>706.8d
Update Bulletinと内容変わることあるんですね。ちょっと驚き。
置換効果でも軽減効果でもないので《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》のコピーを解決した場合は2回シャッフルでいいのでしょうか?
ああ、その例はわかりやすいですね。ありがとうございます。
> 《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》のコピーを解決
この場合はつごう2回切り直されます。
特定のオブジェクト(=緑頂点のコピー)をライブラリーに加えて切り直させることになりますが、
この場合、そのオブジェクトはもとあるべき領域にあり、(701.15cには当たらない)
かつ、他の置換効果などによってライブラリー以外の領域に行くことがありません。
(新701.15dにあたらない)
したがって、《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》の後半にあたる切り直しは行われます。
現実の試合ならば、1回のシャッフルで済ませるのが良いでしょう。
例に挙げられた場合だと
旧ルール
攻撃クリーチャー指定時になんらかの理由でマナ・プールに{2}があっても支払わないことを選んで攻撃しなくてOK
新ルール
攻撃クリーチャー指定時にマナ・プールに{2}があったら払わなきゃダメ
新旧どちらでも
マナ・プールに{2}がなかったら土地がアンタップしててもマナ能力の起動は強制じゃないから払わなくてOK
こういうことでしょうか
> 攻撃クリーチャー指定時にマナ・プールに{2}があったら払わなきゃダメ
いえ、これも支払わなくてよいです。ただし、攻撃強制を最大限満たしていない選択はできません。
あくまで「攻撃強制を最大限満たす必要がある。が、コストを支払ってまで満たす必要はない。」
というだけです。