A foul move.
2010年9月1日 Ruling コメント (8)*注意*
この記事の内容は筆者ことtestingがルール文書並びにForumや他ジャッジに伺った内容を
私的に判断して記事にしたものです。あくまで一つの考え方として受け止めてください。
実際に似通った状況であっても、下される裁定や罰則は異なることがあります。
全てはその大会のヘッドジャッジの判断に委ねられます。
次のような状況を考えてみよう。
なお、以下はRELを『競技』として考える。
・どこが間違っているか?
上記PとQの一連の行動での、一番大きな食い違いは
「《霜のタイタン》は、Pが戦闘を宣言した時点でどの領域にあるか?」である。
Pは《忘却の輪》で《霜のタイタン》を追放したと思っているはずで、
Qは《霜のタイタン》がまだ戦場にあると思っている。
この食い違いの原因は《霜のタイタン》の1番目の誘発型能力、
「霜のタイタンがいずれかの対戦相手がコントロールする呪文1つや能力1つの対象になるたび、
それのコントローラーが{2}を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。」
の誘発とその解決に関して、PとQが一切触れていないことである。
上記の行動をかえりみると、Pは{2}を支払う動きを一切していない。
つまりPは{2}を支払わなかったと判断され、《忘却の輪》の誘発型能力は打ち消された。
結局、《霜のタイタン》はまだ戦場にある。
つまり、PとQの一連の行動は矛盾が無く、ただ確認ができていないだけである。
あなたは両プレイヤーに懲罰を与えること無く、状況が明白に分かるようにプレイを進めるよう、
口頭で注意し、その場を離れる。
……これで良いのだろうか?
・誰が解決をする必要があるか?
《霜のタイタン》の1番目の誘発型能力(FT)を考えよう。
このオブジェクト(FT)のコントローラーはQである。
つまり、(FT)の解決はQが中心となって行わなくてはいけない。
(FT)の解決中、選択を行うところがあるが、その選択を行うのは(FT)のコントローラーではなく、
対戦相手のPである。つまり、Qは(FT)の解決中に、「{2}支払うかどうか?」という選択を
Pに促さないと、(FT)の解決を完了できない。言い換えると、Pが「{2}支払う」又は「支払わない」
という選択を行わないと、Qが(FT)の解決を完了することはできないのである。
・となると、何が原因か?
Qは(FT)の解決を忘れていたのだろうか?
それとも、(FT)が誘発したことは承知の上で、Pが何もしないことに期待したのだろうか?
場合分けをしてみよう。
パターン1)
Qが《霜のタイタン》の誘発そのものを忘れていたのならば、《忘却の輪》の誘発型能力は
そのまま解決されているはずで、《霜のタイタン》は戦場に無く、追放されていなくてはいけない。
上記の状況では、《霜のタイタン》は物理的に動かされていない。ただ《忘却の輪》がその
そばに置かれただけである。
この場合の懲罰は以下のようになる。
・Qは《霜のタイタン》の誘発型能力の誘発を忘れていた→〔ゲーム上の誤り ― 誘発忘れ〕【警告】
・Qは《霜のタイタン》の領域を移動させていなかった→〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕【警告】、
かつ、Pにも同様に〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕【警告】
#Pはこの場合、〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕にはならない。
#Qが犯した〔ゲーム上の誤り〕を起こした効果は、全てPによってコントロールされている状況であり、
#不正な行動そのものはPでなくQによってなされている。
#この場合、IPG3項の前文に従い、両方のプレイヤーが〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕では
#なく、本来の違反による懲罰、〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕を受ける。
しかし、このパターン1)は非常に考えづらい。
現実問題として誘発型能力(FT)を忘れ、そして《忘却の輪》による領域移動も忘れ、
《霜のタイタン》がまだ戦場にあると思っていたという主張は、やや強引であると言わざるをえない。
パターン2)
Qが《霜のタイタン》の誘発を認識していたのならば、《霜のタイタン》の誘発型能力の解決中に、
QはPに{2}を支払うかどうかの選択をさせない限り、この誘発型能力の解決は終了しない。
従ってスタックにある《忘却の輪》の誘発型能力は解決できない。
上記の状況では、Qは《霜のタイタン》の能力の解決中に、Pへ選択を促していない。
Qは自分に有利な状況を作ろうとして『意図的に』正常な手続きを行っていない、と考えられる。
つまり、この場合Qは〔イカサマ ― 詐欺行為〕となり、懲罰は【失格】となる。
・冒頭の状況での結論
《霜のタイタン》の能力の解決中に、QはPへ選択を促さなければならないのに
意図的にだまったままゲームを続行し、《霜のタイタン》が《忘却の輪》により追放されずに
戦場にあるという、Qに有利な状況を作成した。
よってQは〔イカサマ ― 詐欺行為〕となり、【失格】となる。
・ジャッジはどうすべきか?
上記の状況で呼ばれた場合、ジャッジはPとQにインタビューを行うべきである。
どこまでを認識していたのか? 互いの言葉、もしくは本人の言動に矛盾はないか?
確認する事項は少ししかないはずである。
結果としてプレイヤーがウソをついていたと判明した場合、容赦する必要はない。……残念ながら。
・良きプレイヤーであれ
最初に挙げた状況は例としては極端かもしれない。
が、プレイヤーはゲームの状況を正確に理解し、最善のプレイングを行うべきである。
ルールを逆手に取って無闇にプレッシャーをかけるのは、プレイングではない。
対戦相手のボーンヘッドを期待するのは良いプレイヤーの姿勢からは程遠い。
プレイヤーは良きプレイングをする「プレイ」ヤーであれ。そう願ってやまない。
この記事の内容は筆者ことtestingがルール文書並びにForumや他ジャッジに伺った内容を
私的に判断して記事にしたものです。あくまで一つの考え方として受け止めてください。
実際に似通った状況であっても、下される裁定や罰則は異なることがあります。
全てはその大会のヘッドジャッジの判断に委ねられます。
次のような状況を考えてみよう。
なお、以下はRELを『競技』として考える。
Qのコントロールしているクリーチャーは《霜のタイタン/Frost Titan》のみである。
Pのターン、Pは《忘却の輪/Oblivion Ring》を唱えた。
Qは「対象は?」と聞いたので、PはQの《霜のタイタン》を指し、
《忘却の輪》を《霜のタイタン》のすぐそばに置いた。
Qはそれらに対してなにもしなかった。
その後、Pは「戦闘入ります」と言って、自分のクリーチャーで攻撃をした。
すると、Qは《霜のタイタン》でブロックを宣言しようとしたのだ。
Pはここでジャッジを呼んだ。
さあ、あなたが呼ばれたジャッジだとして、どう処理をするか?
・どこが間違っているか?
上記PとQの一連の行動での、一番大きな食い違いは
「《霜のタイタン》は、Pが戦闘を宣言した時点でどの領域にあるか?」である。
Pは《忘却の輪》で《霜のタイタン》を追放したと思っているはずで、
Qは《霜のタイタン》がまだ戦場にあると思っている。
この食い違いの原因は《霜のタイタン》の1番目の誘発型能力、
「霜のタイタンがいずれかの対戦相手がコントロールする呪文1つや能力1つの対象になるたび、
それのコントローラーが{2}を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。」
の誘発とその解決に関して、PとQが一切触れていないことである。
上記の行動をかえりみると、Pは{2}を支払う動きを一切していない。
つまりPは{2}を支払わなかったと判断され、《忘却の輪》の誘発型能力は打ち消された。
結局、《霜のタイタン》はまだ戦場にある。
つまり、PとQの一連の行動は矛盾が無く、ただ確認ができていないだけである。
あなたは両プレイヤーに懲罰を与えること無く、状況が明白に分かるようにプレイを進めるよう、
口頭で注意し、その場を離れる。
……これで良いのだろうか?
・誰が解決をする必要があるか?
《霜のタイタン》の1番目の誘発型能力(FT)を考えよう。
このオブジェクト(FT)のコントローラーはQである。
つまり、(FT)の解決はQが中心となって行わなくてはいけない。
(FT)の解決中、選択を行うところがあるが、その選択を行うのは(FT)のコントローラーではなく、
対戦相手のPである。つまり、Qは(FT)の解決中に、「{2}支払うかどうか?」という選択を
Pに促さないと、(FT)の解決を完了できない。言い換えると、Pが「{2}支払う」又は「支払わない」
という選択を行わないと、Qが(FT)の解決を完了することはできないのである。
・となると、何が原因か?
Qは(FT)の解決を忘れていたのだろうか?
それとも、(FT)が誘発したことは承知の上で、Pが何もしないことに期待したのだろうか?
場合分けをしてみよう。
パターン1)
Qが《霜のタイタン》の誘発そのものを忘れていたのならば、《忘却の輪》の誘発型能力は
そのまま解決されているはずで、《霜のタイタン》は戦場に無く、追放されていなくてはいけない。
上記の状況では、《霜のタイタン》は物理的に動かされていない。ただ《忘却の輪》がその
そばに置かれただけである。
この場合の懲罰は以下のようになる。
・Qは《霜のタイタン》の誘発型能力の誘発を忘れていた→〔ゲーム上の誤り ― 誘発忘れ〕【警告】
・Qは《霜のタイタン》の領域を移動させていなかった→〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕【警告】、
かつ、Pにも同様に〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕【警告】
#Pはこの場合、〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕にはならない。
#Qが犯した〔ゲーム上の誤り〕を起こした効果は、全てPによってコントロールされている状況であり、
#不正な行動そのものはPでなくQによってなされている。
#この場合、IPG3項の前文に従い、両方のプレイヤーが〔ゲーム上の誤り ― 違反の見逃し〕では
#なく、本来の違反による懲罰、〔ゲーム上の誤り ― その他一般〕を受ける。
しかし、このパターン1)は非常に考えづらい。
現実問題として誘発型能力(FT)を忘れ、そして《忘却の輪》による領域移動も忘れ、
《霜のタイタン》がまだ戦場にあると思っていたという主張は、やや強引であると言わざるをえない。
パターン2)
Qが《霜のタイタン》の誘発を認識していたのならば、《霜のタイタン》の誘発型能力の解決中に、
QはPに{2}を支払うかどうかの選択をさせない限り、この誘発型能力の解決は終了しない。
従ってスタックにある《忘却の輪》の誘発型能力は解決できない。
上記の状況では、Qは《霜のタイタン》の能力の解決中に、Pへ選択を促していない。
Qは自分に有利な状況を作ろうとして『意図的に』正常な手続きを行っていない、と考えられる。
つまり、この場合Qは〔イカサマ ― 詐欺行為〕となり、懲罰は【失格】となる。
・冒頭の状況での結論
《霜のタイタン》の能力の解決中に、QはPへ選択を促さなければならないのに
意図的にだまったままゲームを続行し、《霜のタイタン》が《忘却の輪》により追放されずに
戦場にあるという、Qに有利な状況を作成した。
よってQは〔イカサマ ― 詐欺行為〕となり、【失格】となる。
・ジャッジはどうすべきか?
上記の状況で呼ばれた場合、ジャッジはPとQにインタビューを行うべきである。
どこまでを認識していたのか? 互いの言葉、もしくは本人の言動に矛盾はないか?
確認する事項は少ししかないはずである。
結果としてプレイヤーがウソをついていたと判明した場合、容赦する必要はない。……残念ながら。
・良きプレイヤーであれ
最初に挙げた状況は例としては極端かもしれない。
が、プレイヤーはゲームの状況を正確に理解し、最善のプレイングを行うべきである。
ルールを逆手に取って無闇にプレッシャーをかけるのは、プレイングではない。
対戦相手のボーンヘッドを期待するのは良いプレイヤーの姿勢からは程遠い。
プレイヤーは良きプレイングをする「プレイ」ヤーであれ。そう願ってやまない。
コメント
>つまり、(FT)の解決はQが中心となって行わなくてはいけない。
ここについて、何か明文化された資料はあるのでしょうか?
608.2c 呪文や能力のコントローラーは、書かれた順序で指示に従う。
とある通り、解決に入っているのならばそのコントローラーが指示に従う必要があります。
(E) 対戦相手あるいはチームメイトが不正なプレイをしたのに気付いたプレイヤーが、自分の利益になると判断してジャッジを呼ばなかった。
最終的にこの問題が詐欺行為にあたるとして
1)Pの「戦闘入ります」の部分は、「誘発(型能力)を解決させて戦闘に入ります」だと詐欺行為にあたりますか?
2)上記が詐欺行為に当たる場合、「誘発(型能力)をすべて解決させて戦闘に入ります」だと詐欺行為にあたりますか?
よろしくお願いします。
リンクさせていただきました。ジャッジの端くれとして頑張ります。よろしくお願いします。
なんとも言えません。
Pが普段からそのような言い方で行動の省略を行っているのなら、
記事の内容に帰着できるでしょう。が、そのような言い方がよく使われているとは
個人的にはとても思えません。
なので、Pがそのように言うのであれば、Qはなにかしらのリアクションを行うのが
普通でしょう。例えば「何を?」「どれを?」など。
なので私的にはその仮定では、両者にインタビューをしない限り
なんとも言えません。