Card sleeves and Altered cards
2009年12月10日 Tips コメント (1)
MTGはカードゲームです。
楽しむという面から見れば、綺麗な絵のスリーブや通常とは異なる絵のカードを
用いてみたいという願望はあるものです。ですが、競技性という面から見ると、
それらは万人が使用して良いものなのでしょうか?
プレイヤーが用いるスリーブやカードを、大会で使用して良いかどうかを判断する
のは、ヘッドジャッジです。これは大原則で覆ることはありません。
ですが、プレイヤーにはどこで線引きがなされているかわからないと感じます。
この記事では、MTRを下地として、何が良くて何が悪いかを紹介していきます。
*注意*
この記事は、私ことtestingが公式サイトやforumからの内容をまとめ、
自分なりに解釈したものです。実際の大会においては、ヘッドジャッジ
もしくは主催者の指示に従い、適切に大会を進行するようにお願いいたします。
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カードスリーブ
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カードスリーブに関して、MTRには次のように書かれている。
いうなればこれが全てである。
最近はスリーブも様々な柄の物が売られるようになったので、大会でも無地以外のスリーブを
よく見かけるようになった。しかし、RELが競技以上、つまりGPTやPTQ、そしてゲームデイなどでは、
使用できないスリーブが存在する、ということを皆さんにも覚えておいていただきたい。
1番目の画像は、競技以上のRELにおいて、使用できないスリーブを図示したものである。
自分の使っているスリーブが使用できるかどうかを、一度各自で判断してみてはいかがだろうか。
一般RELにおいては、スリーブの使用に関して制限をかけるべきではない。
しかし、競技RELの大会に出る場合を考慮し、プレイヤーに対して助言や指摘をするべきである。
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拡張アートカード
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古くはアーティストのサインに始まり、今ではカードの絵に追加の絵が描き加えられたり、
絵が枠を外れて書かれていたりするものも見られるようになった。
"Altered card" または "Altered art" と呼ばれているこれらのカードは、大会において
使用が可能なのだろうか?
*MTRの文章
MTRには以下の文章が書かれている。
この文章には「芸術的な修正」とあるが、どのようなものが芸術的なのかは書かれていない。
これが曖昧になっているために、どのようなカードが使用できるかどうかの線引きがバラバラに
なっている。では、どのような「絵の修正」が考えられるかを順番に挙げてみよう。
*「偽造」
例えば、《ルーン爪の熊/Runeclaw Bear》に、繊細に《Force of Will》の絵を描いたカードを
あなたは《Force of Will》として大会での使用を認めるだろうか?
もちろん、このカードを《Force of Will》として使用を認めるわけにはいかない。
ここに挙げた修正はカードを識別できなくしていて、かつ、たちの悪い偽造行為である。
*厚みと重さ
凝った絵を描いているカードは、塗料によって厚みが大きくなったり、重さが変わることも
予想される。そのようなカードはスリーブに入れていたとしても、他のカードと「区別がつく」
ので、この場合は使用が認められない。区別がつくかどうかの最終的な判断はヘッドジャッジが行う。
*画像の拡張
拡張アートカードの代表的なものは、画像部分を拡張し、枠をはみ出した絵を追加している。
テキストボックス部分にまで絵を拡張したカードも見受けられる。
このようなカードが大会で使用可能かどうかを考える場合、助けとなるのは
『カードを識別できなくしていたり、戦略上意味のある情報を含んでいてはならない。』
というMTRの文章である。
カードの色や、マナ・コスト、名前、P/Tはそのカードを識別するのに必要な情報である。
また、テキストレスのプロモカードが使用可能なことから、
カード・テキストは、そのカードを識別するのには必要でないことが読み取れる。
古いカードはそのテキスト欄が見えていたとしても、現行のオラクルとは
全く異なっている場合がしばしば見受けられる。(例:《Illusionary Mask》)
また、なじみのない言語で書かれたカードのテキストが残っていても、読めないので意味が無い。
(例:"Du kannst eine blaue Karte aus Deiner Hand ganz aus dem Spiel entfernen,"って何?)
つまり、カード・テキストが見える/見えないという点は、カードの識別にはさほど重要ではない。
カードさえそれと識別できるようであれば、プレイヤーはゲームの状況を把握できるし、
必要であればオラクルを用いて正確なテキストを引っ張ってくることも可能である。
*画像の修飾
拡張アートカードは、単に元々の絵を拡張したものに留まらない。
アーティストのサイン会などで見受けられるような、絵自体に追加や修飾を施したものも存在する。
場合によっては、絵を全く別のものにしてしまったカードも存在する。
上の「画像の拡張」と同様に考えてみると、それらのカードが識別できるかどうかが問題となる。
カードにサインをするのと同じく、マーカーで少し絵や言葉を書き足しただけのようなものは、
そのカードの識別に影響を与えないと考えられるので、普通のカードと同じように扱うべきである。
(ただし、『独楽使ったら必ずこれをトップに置くこと!』というような、戦略的な情報を
書いているようなカードは使用できない。)
カード本来の絵と全く異なる絵が描かれていた場合はどうだろうか。
例えば、2番目の画像のように、《帰化/Naturalize》の絵の部分に、
《クローサの掌握/Krosan Grip》の絵がまるまる覆いかぶさったようなカードがあったとしよう。
対戦相手からこのカードを見せられたら、あなたは、(あー、なにも対応できないなー)と
勘違いしてしまうのではないだろうか?
このように、カードの識別がしづらく、それによって一方的に優位性を得る可能性がある
改変は認められない。わかりにくい絵を使用したり、色使いを本来の色と変えてしまっている場合も
同様に判断されるべきである。
*ネタはほどほどに
3番目の画像を見てもらいたい。
それぞれ拡張アートカードとしては絵も改変度合いも全く異なるものである。
(1)は、ぱっと見でゼンディカーの《島/Island》と区別がつきにくい。
他の土地と混ぜられながらプレイをされると、ゲームの状況を正確に把握するのが困難になりかねない。
(2)は、《狡知/Guile》と、ゲームキャラの「ガイル」の綴りが一緒、というだけで
絵を取り替えてしまったネタだが、これのネタが通じるにはストリートファイターシリーズを
知っているという前提が無いと通じない。
(3)に関してはネタもマイナーで、万人に理解してもらえるとはとても思えない。
拡張アートでネタを仕込むのも結構であるが、万人に通じるネタでないかぎり、
ほどほどにとどめおいたほうが懸命である。
*「使用するな」ではない。「時と場所を選んで使用する。」
以上のように、拡張アートカードに関する基本的な考え方を述べてきた。
それでは、どのような理由であろうと、拡張アートカードは使用できないのだろうか?
そうとは限らない。
誰しも、自分の持っているカードは使いたいものだし、仲間内であったり、
なじみのある場所であれば、拡張アートカードを使用してもかまわない空気が生まれるだろう。
対戦相手に配慮し、そのような環境をつくりあげることも重要である。
RELが一般であるならば、主催者やヘッドジャッジは、拡張アートカードの使用をできるだけ
許可するべきである。上に述べてきた考え方を適用し、使用できないのであればその点を指摘し、
使用を許可したとしても、より上のRELでの使用は難しいということをプレイヤーへ指導すべきである。
指導自体は別にジャッジでなくてもよい。
回りのプレイヤーが気づいたなら、このような指摘をして改善すべきである。
繰り返しになるが、最終決定権はヘッドジャッジにあることを忘れずに。
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そんなところで。
楽しむという面から見れば、綺麗な絵のスリーブや通常とは異なる絵のカードを
用いてみたいという願望はあるものです。ですが、競技性という面から見ると、
それらは万人が使用して良いものなのでしょうか?
プレイヤーが用いるスリーブやカードを、大会で使用して良いかどうかを判断する
のは、ヘッドジャッジです。これは大原則で覆ることはありません。
ですが、プレイヤーにはどこで線引きがなされているかわからないと感じます。
この記事では、MTRを下地として、何が良くて何が悪いかを紹介していきます。
*注意*
この記事は、私ことtestingが公式サイトやforumからの内容をまとめ、
自分なりに解釈したものです。実際の大会においては、ヘッドジャッジ
もしくは主催者の指示に従い、適切に大会を進行するようにお願いいたします。
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カードスリーブ
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カードスリーブに関して、MTRには次のように書かれている。
3.9 スリーブ
プレイヤーはスリーブその他のカード保護用の機材を用いてもよい。スリーブを使うことにした
場合、そのスリーブはすべて同一で、すべてのカードが同様にスリーブ内に配置されていなければ
ならない。スリーブにホログラムその他のマーキングがある場合、そのマーキングはカードの表側
に来るものでなければならない。
マッチの間、プレイヤーはジャッジに対戦相手のスリーブを調査するように要求してもよい。
ジャッジは、スリーブが区別できたり、くたびれていたりなどの状態やデザインによってシャッフル
やゲームのプレイに支障があると感じた場合、そのスリーブの使用を禁止できる。スリーブの変更
には時間がかかるので、ジャッジは、スリーブの変更をマッチの終了後に延期してもよい。
競技またはプロRELの大会では、スリーブにさらなる条件が追加される。裏面の反射率の高い
ものは使用できない。スリーブの周囲が単一の色でない場合、裏面に絵が描かれているものは使用
できない。表面裏面を問わず、一面に渡ってホログラムが入っているものも使用できない。
ヘッドジャッジはスリーブの許可不許可に関する最終権限者である。
いうなればこれが全てである。
最近はスリーブも様々な柄の物が売られるようになったので、大会でも無地以外のスリーブを
よく見かけるようになった。しかし、RELが競技以上、つまりGPTやPTQ、そしてゲームデイなどでは、
使用できないスリーブが存在する、ということを皆さんにも覚えておいていただきたい。
1番目の画像は、競技以上のRELにおいて、使用できないスリーブを図示したものである。
自分の使っているスリーブが使用できるかどうかを、一度各自で判断してみてはいかがだろうか。
一般RELにおいては、スリーブの使用に関して制限をかけるべきではない。
しかし、競技RELの大会に出る場合を考慮し、プレイヤーに対して助言や指摘をするべきである。
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拡張アートカード
----------------------------
古くはアーティストのサインに始まり、今ではカードの絵に追加の絵が描き加えられたり、
絵が枠を外れて書かれていたりするものも見られるようになった。
"Altered card" または "Altered art" と呼ばれているこれらのカードは、大会において
使用が可能なのだろうか?
*MTRの文章
MTRには以下の文章が書かれている。
他の条件を満たしている限り、英語以外のカードあるいは印刷ミスのあるカードを使ってもよい。
ただし、分かりにくい文言や絵を使って有利を得ようとしてはならない。
公式のテキストレス・プロモカードは、他の条件を満たしていれば、DCI認定の大会で使うこと
ができる。芸術的な修正は許容されうるが、その修正がカードを識別できなくしていたり、
戦略上意味のある情報を含んでいてはならない。
あるカードがその大会で使用できるかどうかを決定するのは、ヘッドジャッジである。(MTR3.3)
この文章には「芸術的な修正」とあるが、どのようなものが芸術的なのかは書かれていない。
これが曖昧になっているために、どのようなカードが使用できるかどうかの線引きがバラバラに
なっている。では、どのような「絵の修正」が考えられるかを順番に挙げてみよう。
*「偽造」
例えば、《ルーン爪の熊/Runeclaw Bear》に、繊細に《Force of Will》の絵を描いたカードを
あなたは《Force of Will》として大会での使用を認めるだろうか?
もちろん、このカードを《Force of Will》として使用を認めるわけにはいかない。
ここに挙げた修正はカードを識別できなくしていて、かつ、たちの悪い偽造行為である。
*厚みと重さ
凝った絵を描いているカードは、塗料によって厚みが大きくなったり、重さが変わることも
予想される。そのようなカードはスリーブに入れていたとしても、他のカードと「区別がつく」
ので、この場合は使用が認められない。区別がつくかどうかの最終的な判断はヘッドジャッジが行う。
*画像の拡張
拡張アートカードの代表的なものは、画像部分を拡張し、枠をはみ出した絵を追加している。
テキストボックス部分にまで絵を拡張したカードも見受けられる。
このようなカードが大会で使用可能かどうかを考える場合、助けとなるのは
『カードを識別できなくしていたり、戦略上意味のある情報を含んでいてはならない。』
というMTRの文章である。
カードの色や、マナ・コスト、名前、P/Tはそのカードを識別するのに必要な情報である。
また、テキストレスのプロモカードが使用可能なことから、
カード・テキストは、そのカードを識別するのには必要でないことが読み取れる。
古いカードはそのテキスト欄が見えていたとしても、現行のオラクルとは
全く異なっている場合がしばしば見受けられる。(例:《Illusionary Mask》)
また、なじみのない言語で書かれたカードのテキストが残っていても、読めないので意味が無い。
(例:"Du kannst eine blaue Karte aus Deiner Hand ganz aus dem Spiel entfernen,"って何?)
つまり、カード・テキストが見える/見えないという点は、カードの識別にはさほど重要ではない。
カードさえそれと識別できるようであれば、プレイヤーはゲームの状況を把握できるし、
必要であればオラクルを用いて正確なテキストを引っ張ってくることも可能である。
*画像の修飾
拡張アートカードは、単に元々の絵を拡張したものに留まらない。
アーティストのサイン会などで見受けられるような、絵自体に追加や修飾を施したものも存在する。
場合によっては、絵を全く別のものにしてしまったカードも存在する。
上の「画像の拡張」と同様に考えてみると、それらのカードが識別できるかどうかが問題となる。
カードにサインをするのと同じく、マーカーで少し絵や言葉を書き足しただけのようなものは、
そのカードの識別に影響を与えないと考えられるので、普通のカードと同じように扱うべきである。
(ただし、『独楽使ったら必ずこれをトップに置くこと!』というような、戦略的な情報を
書いているようなカードは使用できない。)
カード本来の絵と全く異なる絵が描かれていた場合はどうだろうか。
例えば、2番目の画像のように、《帰化/Naturalize》の絵の部分に、
《クローサの掌握/Krosan Grip》の絵がまるまる覆いかぶさったようなカードがあったとしよう。
対戦相手からこのカードを見せられたら、あなたは、(あー、なにも対応できないなー)と
勘違いしてしまうのではないだろうか?
このように、カードの識別がしづらく、それによって一方的に優位性を得る可能性がある
改変は認められない。わかりにくい絵を使用したり、色使いを本来の色と変えてしまっている場合も
同様に判断されるべきである。
*ネタはほどほどに
3番目の画像を見てもらいたい。
それぞれ拡張アートカードとしては絵も改変度合いも全く異なるものである。
(1)は、ぱっと見でゼンディカーの《島/Island》と区別がつきにくい。
他の土地と混ぜられながらプレイをされると、ゲームの状況を正確に把握するのが困難になりかねない。
(2)は、《狡知/Guile》と、ゲームキャラの「ガイル」の綴りが一緒、というだけで
絵を取り替えてしまったネタだが、これのネタが通じるにはストリートファイターシリーズを
知っているという前提が無いと通じない。
(3)に関してはネタもマイナーで、万人に理解してもらえるとはとても思えない。
拡張アートでネタを仕込むのも結構であるが、万人に通じるネタでないかぎり、
ほどほどにとどめおいたほうが懸命である。
*「使用するな」ではない。「時と場所を選んで使用する。」
以上のように、拡張アートカードに関する基本的な考え方を述べてきた。
それでは、どのような理由であろうと、拡張アートカードは使用できないのだろうか?
そうとは限らない。
誰しも、自分の持っているカードは使いたいものだし、仲間内であったり、
なじみのある場所であれば、拡張アートカードを使用してもかまわない空気が生まれるだろう。
対戦相手に配慮し、そのような環境をつくりあげることも重要である。
RELが一般であるならば、主催者やヘッドジャッジは、拡張アートカードの使用をできるだけ
許可するべきである。上に述べてきた考え方を適用し、使用できないのであればその点を指摘し、
使用を許可したとしても、より上のRELでの使用は難しいということをプレイヤーへ指導すべきである。
指導自体は別にジャッジでなくてもよい。
回りのプレイヤーが気づいたなら、このような指摘をして改善すべきである。
繰り返しになるが、最終決定権はヘッドジャッジにあることを忘れずに。
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そんなところで。
コメント
大変わかりやすい説明ですね!
来年初公式戦やるので、ぜひこれを参考にしたいので
リンクさせていただきたいです(*´Д`;)ノ