Floor rules updates -- MTR & IPG
2009年7月2日 Ruling2009年7月1日をもって、フロアルールが更新されました。
概要としては、今まで3つに別れていた文書
・DCI Universal Tournament Rules (UTR)
・Magic Floor Rule (MFR)
・Penalty Guide and Procedure (PG)
が、以下の2つに統合されました。
・MAGIC: THE GATHERING TOURNAMENT RULES (MTR)
・MAGIC INFRACTION PROCEDURE GUIDE (IPG)
新しい文書のうち、上のMTRには大会に関する各人の役割、進行方法などが記載されており、
世界中どこでも統一されたDCI認定大会を行うことができるようにするものです。
プレイヤー、というよりは大会に参加する全ての人に対して書かれています。
MTRはUTR、MFR、それと一部のPG(意思疎通規定の部分)をまとめ、書き換えた文書になっています。
旧版とは異なる表現を使用してある項目が多く、完全に別物と捉えても問題ありません。
(が、よく内容を読むと以前と同じ事を表現している項目も多いです)
一方、IPGの方は、違反処置の指針が書かれています。主にジャッジ向けに書かれており、
旧PGの文章がそのまま使用されている項目も多く見られます。
罰則区分が変わっている(例:過剰なカードを引いた)ものや、MTGに対しての文書になったので
他のTCGにおける表現がなくなった(例:ウォーバンド、ミニチュア)ことが特徴です。
英語版(原文)は、DCIのDocument Centerで参照できます。
(http://www.wizards.com/default.asp?x=dci/doccenter/home)
日本語版は近いうちにMJMJ.infoに掲載されるそうです。
毎回重宝していますのでこの場を借りて感謝を。
では、今回はMTRの各項目をざらざらと見ていきましょう。
各章の詳細はまた後日にでも別にして記事化します。
以前との比較や、おいらが気になった点を中心にお送りしますので、
原文に一度目を通すことをおすすめいたします。
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* Introduction
イントロ部分にはこの文書自体に関する情報が書かれている。
・プレイヤーと大会スタッフは大会を上手く運営するためにお互いに協力し、MFR、IPG、その他
ルール文書に記載されている事柄に従う責任がある。観客には観客の義務が定められている。
・CRとMTRで矛盾が生じた場合、MTRが優先される。
・大会手順についてはMTRよりも大会のファクトシートが優先される。
* 1. Tournament Fundamentals / 大会の基本
・大会はプレミア・イベントと非プレミア・イベントに別れることが明記された。
プレミア・イベントとはWofCもしくはWofCの選んだ大会主催者が開催する大会の事である。(MTR1.1)
・大会上の役職について6つの区分が示された。(MTR1.3)
・Tournament Organizer /大会主催者 (MTR1.6)
・Head Judge /ヘッドジャッジ (MTR1.7)
・Floor Judge /フロアジャッジ (MTR1.8)
・Scorekeeper /スコアキーパー (MTR1.9)
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・Player /プレイヤー (MTR1.10)
・Spectator /観客 (MTR1.11)
それぞれの内容については、役職名の後にあるMTR項目で解説されている。
上4つの役職は大会スタッフである。
・スコアキーパーについては以前の文書では用語集の1項目に過ぎなかったが、
大会運営上必要な役職であるので、MTRで項目として番号が振られた。
・観客の責務について。以前は観戦しているゲームでルールの違反や誤りを見つけても
直接は干渉出来ず、ジャッジを介してルールの誤りを指摘していた。
が、今回のMTRでは、競技レベルが『一般』『競技』の場合に限り、観戦中のゲームで
ルールの違反や誤りを見つけた場合、プレイヤーにマッチの進行を止めるように要請した後に
ジャッジを呼んで良いようになった。(MTR1.11)
* 2 Tournament Mechanics. / 大会の機構
・ゲームの開始前の手順は、3分以内に行わなくてはいけないと明記された。(MTR2.3)
・マリガンに関するルールはCR104節にある。MTRではマリガンの仕方について書かれていない。
・デッキ登録についての文章が新しく制定された。(MTR2.7)
・RELが『競技』『プロ』の場合、デッキ登録は必須である。
・デッキリストを用いる個人戦リミテッド形式の場合、デッキリストを提出するまで
非公開の内容について他のプレイヤーや観客と会話してはいけない。
・デッキリストを提出した後では、デッキリストを編集することはできない。
・デッキリストはそのイベント進行中は公開情報ではない。(REL『プロ』では例外有り)
・記録(メモ)を取ることに関しての文章がより詳しくなった。(MTR2.9)
・マッチの開始時には記録用紙は空白であり、マッチの間はそれが見える状態でなければならない。
・プレイヤーは、マッチ中にとったメモを他のプレイヤーに説明したり公開する必要はない。
・プレイヤーは、以前のマッチの間に取った外部のメモをゲーム中に見てはならない。
・ゲームとゲームの間には、プレイヤーはマッチの前に取られた外部のメモを見てもよい。
そのメモは次のゲームの開始前にプレイエリアから取り除かなければならない。
(前の項目と内容は非常に似ていますが、ゲーム中はゲーム中に取ったメモしか見れず、
ゲームが終わって次のゲームに行くときには、自由にメモ帳の中身を見れる、ということです)
* 3. Tournament Rules. / 大会規定
・タイブレイカーについての記載がMTRに統一された。(MTR3.1、MTR Appendix D)
・2人チーム戦と3人チーム戦のレーティングが区分された。(MTR3.2)
・効果を忘れないように、小さな物をマーカーとしてプレイヤーのライブラリーの上に置いても良い。
このようにマーカーを置くことを、ライブラリーだけでなく、墓地の上に置いても良くなった。(MTR3.7)
・デッキをシャッフルするように指示された場合、リフル・シャッフル系のシャッフルによって
デッキを無作為化しなければならなくなった。 (MTR3.8)
ディール・シャッフル(テーブルにいくつかの山を作るようにカードを配るシャッフル、
~山切り、田植えとも呼ばれる)だけでは、無作為化したことにはならない。
プレイヤーがシャッフル中に誤って表を見てしまった場合、その束は無作為化されていない
ものとして扱う。
・カード・スリーブについての表記が新しくなった。以下は必要とされる条件。(MTR3.9)
・スリーブは全て同一であること。
・全てのカードが同様にスリーブ内に収まっていること。(一部のカードが天地逆に入っていると×)
・スリーブにホログラム等がある場合、それらはカードの表側に配置されること。
RELが『競技』『プロ』においては、さらに以下の制限が加わる。
・裏面の反射率が高いものは使用不可。
・裏面に絵が描かれており、スリーブの周りが単一の色でない場合、使用不可。
・表面裏面を問わず、一面に渡ってホログラムが入っているものは使用不可。
・区別できるカードについての表記が新しくなった。(MTR3.10)
・原則として、傷や色、反り返り等でカードを裏から識別できるようになっている場合、
そのカードやスリーブは区別できるものとして扱う。
・スリーブを使う場合、スリーブに入れる前に充分な無作為化をすることが推奨される。
・カードやスリーブは消耗品であり、プレイしている間もプレイヤーは注意を払うことが明記された。
・カードを紛失した、区別のつくカードであった、等の理由でカードを交換する必要がある場合、
そのカードが入手不可能か、元々カードを交換する意志がない場合、そのカードを当該
プレイヤーの好きな基本土地カードに入れ替えてもよい。
(入れ替えた場合、後からそのカードを入手したとしても変えることはできない)
・ウルザズ・サーガ以降のカードのみを使用する形式では、自分の墓地にあるカードの順番を好きに変更してもよい。 (MTR3.13)
* 4. Communication. / 意思疎通
・全体的にPGの50番台、「意思疎通規定」の焼き直しである。IPGではなくMTRに移された。
プレイヤーに意識して欲しい項目の一つである。
・「順序違いの行動」が、『プロ』RELにおいても認められるようになった。(MTR4.3)
* 5. Tournament Violations / 大会規定抵触行為
・この項目は大会において最もやってはならないこと、イカサマや買収、賭博行為などの
違法行為について書かれている。プレイヤーは常に紳士的に振る舞うこと。
・シングルエリミネーション・ラウンドでは、大会主催者の許可があれば、プレイヤー全員が
賞品を均等に分割することを選んでも良くなった。(MTR5.2)
* 6. Constructed Tournament Rules. / 構築形式大会規定
* 7. Limited Tournament Rules / リミテッド形式大会規定
* 8. Team Tournament Rules. / チーム戦大会規定
* 9. Two-Headed Giant Tournament Rules. / 双頭巨人戦大会規定
・これらの項目に関しては、以前のMFRを引き継いでいる。
(細かいところで変更が加えられ、表現が変更されているが大差はない)
* 10. Sanctioning Rules / 認定規定
・認定大会において、大会の終了条件を組み入れた上でラウンド数が変動することを告知してもよい。
(MTR10.2)
例)20人参加の大会で、4回戦終了時に4勝のプレイヤーがただ1人で無かった場合は5回戦を
行なう、という告知が認められるようになった。
* 付録、その他
・個人戦ブースタードラフトのピック時間が変更になった。
15 枚35秒 → 40 秒
14 枚35秒 → 40 秒
13 枚35秒 → 35 秒
12 枚25秒 → 30 秒
11 枚25秒 → 25 秒
10 枚25秒 → 25 秒
9 枚20秒 → 20 秒
8 枚20秒 → 20 秒
7 枚20秒 → 15 秒
6 枚10秒 → 10 秒
5 枚10秒 → 10 秒
4 枚5秒 → 5 秒
3 枚5秒 → 5 秒
2 枚5秒 → 5 秒
1 枚N/A
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パック間のピック確認時間 60 秒 → 1パック目=30秒、2パック目=45秒
・ロチェスター・ドラフトの初期確認時間が30秒から20秒になった。
各プレイヤーの選択時間は5秒である。
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そんなところで。
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