Magic 2010 Rules Changes. (2/3)
2009年6月12日 RulingMagic2010における変更点のメモ書きです。
原文:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/42a
(言語設定を日本語にしていれば、日本語で読めます)
以下の記事は上記記事を参考にしていますが、内容は「第6版ルール」との差異を中心に
おいら的注釈がたっぷり使われていることにご注意下さい。
なお、M10ルールが実施されるのは2009年7月11日からです。(M10プレリリース日)
MOでは7月29日以降に実装される予定です。
#日本選手権本戦はM10ルール下で行われます。
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5)戦闘ダメージはスタックを使わない
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(第6版ルール)
・戦闘ダメージの割り振りは、すべてが単一のオブジェクトとしてスタックに積まれる。
↓
(M10ルール)
・戦闘ダメージ・ステップでダメージが割り振られたら、それはただちに与えられる。
割り振りの順番は、ブロック・クリーチャー指定ステップで攻撃側プレイヤーが指定した列の順番に従う。
ブロック・クリーチャーへ致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、
次のブロック・クリーチャーへダメージを割り振ることができない。
今までのルールと一番異なっているのがこの変更です。
「戦闘ダメージをスタックに乗っけてからxxxx」
という行動はM10ルール下ではできなくなります。
また、ダメージの割り振りも順番が先に(主に攻撃側によって)指定された順になります。
この順番の指定は、ブロック・クリーチャー指定ステップに、1体の攻撃クリーチャーに対して
複数体のクリーチャーのブロックが宣言された場合に、攻撃側が指定します。
(逆の場合……《思考の糸の三人衆/Thoughtweft Trio》のように、複数体の攻撃クリーチャーが
1体のブロック・クリーチャーにブロックされた場合、「防御側が」順番を指定します。
イメージとしては、1体のクリーチャーが、複数体のクリーチャーを目の前にして
『さて、どいつから殴るかな。そうだ、まずはお前だ。その次にお前だ。その次に……』
といった感じです。)
例を挙げて説明しましょう。
原文と同じく、攻撃側(A)は《長毛のソクター/Woolly Thoctar》で攻撃し、
防御側(B)は、《シーリアのエルフ/Cylian Elf》と《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
でブロックを宣言しようとしています。
====================================================
A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]
===================================================
*ブロック・クリーチャー宣言ステップ:
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
↓
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
複数体でのブロックを宣言されたので、Aは2体のブロック・クリーチャーが
ダメージを受ける列の順番を指定する。
・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。
ブロック・クリーチャー指定ステップにおいて、複数体のクリーチャーにブロックされた場合、
攻撃側が、それらのブロック・クリーチャーに対して順番を決める操作が追加されました。
原文では(http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1a_LL.png)
1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
という順番をAは指定しています。
この順番を覚えていて下さい。それでは、次に移りましょう。
*戦闘ダメージステップ:
(第6版ルール)
・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーに好きなように割り振る。
Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。
・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
↓
(M10ルール)
・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーへ
先ほど指定した順番で好きなように割り振る。
致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、列の次のクリーチャーへダメージが割り振れない。
Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
割り振りが完了した後、その戦闘ダメージが即座に割り振られた様に与えられる。
・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。
今までは戦闘ダメージの割り振りそのものがスタックに積まれていました。
(スタックに積まれるオブジェクトとしては異質なモノでしたが)
しかし、M10ルールでは、ダメージを割り振ったら、即座にそれは与えられるようになりました。
割り振りの際に効いてくるのが、先ほど指定した「ダメージを受ける列の順番」です。
原文では
1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
という順番をAは指定していたので、結果は以下の図のようになります。
(http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1b_LL.png)
もしAが順番を逆に指定していたらどうでしょう?
《死の一撃のミノタウルス》に4ダメージ(=致死ダメージ)を割り振り、
余った1点のダメージを《シーリアのエルフ》に割り振ることになるでしょう。
また、今までと異なるのは、戦闘ダメージが即座に与えられるので、
《巨大化/Giant Growth》や《サマイトの癒し手/Samite Healer》といったカードを有効に使用するには
戦闘ダメージ・ステップ中ではなく、ブロック・クリーチャー指定ステップ中に、使わなくてはいけなくなりました。
上の例を少し変えて、差異を見てみましょう。
====================================================
A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]
で、Bの手札には《目かくし/Bandage》があるとします。
AはBの手札の内容を知りません。
===================================================
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。
・戦闘ダメージ・ステップにおいて、Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
A「《死の一撃のミノタウルス》に4点、《シーリアのエルフ》に1点」 と宣言。
・戦闘ダメージがスタックに乗った後、解決前にBが《目かくし》を《死の一撃のミノタウルス》へプレイ。
・戦闘ダメージを解決。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて3点のダメージ。破壊されず。
・A 「orz」 B「(゜Д゜)ウマー」
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。
・Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
A「《死の一撃のミノタウルス》が1番目、《シーリアのエルフ》が2番目。」 と宣言。
・戦闘ダメージ・ステップに入ってからでは遅いので、Bはとりあえず《死の一撃のミノタウルス》を対象に、《目かくし》を唱える。
・戦闘ダメージ・ステップの割り振りで、
A「1点軽減の盾があるから、1番目の《死の一撃のミノタウルス》へ5点。」と宣言。
・戦闘ダメージが直ちに与えられる。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて4点のダメージを受け、破壊される。
・A 「(・∀・)」 B「(´・ω・`)」
あくまで一例ですが、複数体でのブロックが行われ、コンバット・トリックが使用された場合に
以前のルールとは戦術的に異なる結果が出ることがあります。
また、原文では先制攻撃や二段攻撃に関する文章はありませんが、WofC公式掲示板によると、
「第1戦闘ダメージステップ」において、先制攻撃または二段攻撃を持つクリーチャーが
ダメージを列の順番に応じて与え、その後にプレイヤーが優先権を得て、呪文や能力を使用できます。
つまり、「第2戦闘ダメージステップ」の前に、コンバット・トリックを使用することができるということですね。
この点は今までと変わりありません。
#以下私見。
#順番を決めるという操作は今まで無かったので、異質に見えますが、
#実は、今までやってきたルール下での戦闘結果とあまり変わっていません。
#逆にダメージが割り振られるクリーチャーが見える事により、
#軽減や修整をどこにどの時点で与えるのがか、明解になっている印象を受けました。
#まだ1ヶ月あるので、ドラフトやEDH等でM10ルール下でのゲームを行ってみて下さい。
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6)接死
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(第6版ルール)
・接死は誘発型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーがいずれかのクリーチャー
にダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。」を意味する。
↓
(M10ルール)
・接死は常在型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーにダメージを与えられた
クリーチャーは破壊される。このクリーチャーの戦闘ダメージは、それがブロックしている、
あるいはそれをブロックしているクリーチャーの中で好きなように割り振れる。」を意味する。
接死能力が誘発型能力から常在型能力に変わりました。
今までは、接死能力をもつクリーチャーがダメージを与えてから、能力が誘発し、
その誘発した能力が解決されて始めて、ダメージをくらったクリーチャーは破壊されていました。
M10ルールでは、接死能力を持つクリーチャーにダメージを与えられた場合、そのクリーチャーは
状況起因効果によって破壊されます。同じ事の繰り返しですが、新しい状況起因効果として
「前回の状況起因効果のチェック時以降に接死を持つ発生源からダメージを与えられた
クリーチャーは破壊される。」
が追加されます。致死ダメージによる破壊と同時に起こるので、接死もちから致死ダメージを
受けたクリーチャーは、1回の再生の盾によって破壊を置換することで生き残れます。
(第6版ルールですと、致死ダメージによる破壊で1回、接死による破壊で1回、計2回が必要でした。)
----
接死能力には、もう一つ新しい効果が追加されました。
それはトランプルと同様に、戦闘ダメージの割り振りを変更するものです。
前の章で説明した通り、複数体のクリーチャーと1体のクリーチャーがブロックした/された状態に
なっている場合、複数体のクリーチャーの方には、ダメージを割り振られる順番が指定されています。
接死能力はこの順番を無視し、ブロックしている/されている複数体のクリーチャーに対して、
好きなようにダメージを割り振ることができます。
例を挙げましょう。
====================================================
A:《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》[3/3]、接死
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》[2/2] 、《灰色熊/Grizzly Bears》[2/2]
===================================================
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。
・スタック上の戦闘ダメージを解決する。《レンの地の克服者》の接死能力が誘発する。
状況起因効果によって、致死ダメージを受けた《レンの地の克服者》は破壊される。
・誘発した接死能力を解決する。《シーリアのエルフ》と《灰色熊》は破壊される。
↓
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。
(→接死能力を持っているので、好きなように割り振ってよい)
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。
・状況起因効果のチェックを行う。
《レンの地の克服者》(致死ダメージを受けている)
《シーリアのエルフ》(接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
《灰色熊》 (接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
以上は状況起因効果によって破壊される。
3体とも破壊されてしまう点で、結果としては同じです。
が、墓地に送られる順番が多少違うので、誘発型能力などが絡むとややこしいことになります。
それでも、落ち着いて適用していけば、対応は可能です。
また、原文にもあるとおり、ダメージが割り振られてからクリーチャーが接死能力によって
破壊されるまでに、プレイヤーは優先権を得ません。
言い換えると、再生能力や軽減能力を使用してクリーチャーを助けたい場合は、
ブロック・クリーチャー指定ステップの間に、それらの能力を使用する必要があります。
----
これだけ見ると、『接死もちが与えるダメージは1点で致死ダメージ扱い』という様に見えますが、
それは大きな勘違いです。
なぜならば、接死とトランプルを同時に持っている場合に、戦闘ダメージの割り振りは
今までと同様に「全てのブロック・クリーチャーに致死ダメージを与え」ないと、
プレイヤーへ割り振ることができません。接死はダメージを与えたクリーチャーを、
状況起因効果によって破壊しますが、それは「致死ダメージ」とは何も関係ありません。
上の例を変えて説明しましょう。
====================================================
A:《ロクソドンの戦槌》を装備した《レンの地の克服者》、[6/3]、接死、絆魂
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] 、《灰色熊》[2/2]
===================================================
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に2点、《灰色熊》に2点、プレイヤーに2点」と戦闘ダメージを割り振る。
(→トランプルは全てのブロック・クリーチャーへ致死ダメージを割り振らないと、
プレイヤー又はプレインズウォーカーへダメージを割り振れない。
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に1点、プレイヤーに4点」
と割り振ることはできない。)
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。
絆魂については次の章で説明します。
----
続きます。
原文:http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/42a
(言語設定を日本語にしていれば、日本語で読めます)
以下の記事は上記記事を参考にしていますが、内容は「第6版ルール」との差異を中心に
おいら的注釈がたっぷり使われていることにご注意下さい。
なお、M10ルールが実施されるのは2009年7月11日からです。(M10プレリリース日)
MOでは7月29日以降に実装される予定です。
#日本選手権本戦はM10ルール下で行われます。
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5)戦闘ダメージはスタックを使わない
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(第6版ルール)
・戦闘ダメージの割り振りは、すべてが単一のオブジェクトとしてスタックに積まれる。
↓
(M10ルール)
・戦闘ダメージ・ステップでダメージが割り振られたら、それはただちに与えられる。
割り振りの順番は、ブロック・クリーチャー指定ステップで攻撃側プレイヤーが指定した列の順番に従う。
ブロック・クリーチャーへ致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、
次のブロック・クリーチャーへダメージを割り振ることができない。
今までのルールと一番異なっているのがこの変更です。
「戦闘ダメージをスタックに乗っけてからxxxx」
という行動はM10ルール下ではできなくなります。
また、ダメージの割り振りも順番が先に(主に攻撃側によって)指定された順になります。
この順番の指定は、ブロック・クリーチャー指定ステップに、1体の攻撃クリーチャーに対して
複数体のクリーチャーのブロックが宣言された場合に、攻撃側が指定します。
(逆の場合……《思考の糸の三人衆/Thoughtweft Trio》のように、複数体の攻撃クリーチャーが
1体のブロック・クリーチャーにブロックされた場合、「防御側が」順番を指定します。
イメージとしては、1体のクリーチャーが、複数体のクリーチャーを目の前にして
『さて、どいつから殴るかな。そうだ、まずはお前だ。その次にお前だ。その次に……』
といった感じです。)
例を挙げて説明しましょう。
原文と同じく、攻撃側(A)は《長毛のソクター/Woolly Thoctar》で攻撃し、
防御側(B)は、《シーリアのエルフ/Cylian Elf》と《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
でブロックを宣言しようとしています。
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A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]
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*ブロック・クリーチャー宣言ステップ:
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
↓
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》の2体で、
Aの《長毛のソクター》をブロックすることを宣言する。
複数体でのブロックを宣言されたので、Aは2体のブロック・クリーチャーが
ダメージを受ける列の順番を指定する。
・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。
ブロック・クリーチャー指定ステップにおいて、複数体のクリーチャーにブロックされた場合、
攻撃側が、それらのブロック・クリーチャーに対して順番を決める操作が追加されました。
原文では(http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1a_LL.png)
1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
という順番をAは指定しています。
この順番を覚えていて下さい。それでは、次に移りましょう。
*戦闘ダメージステップ:
(第6版ルール)
・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーに好きなように割り振る。
Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。
・この後、Aが優先権を得て呪文や能力をプレイできる。
↓
(M10ルール)
・Aが《長毛のソクター》のパワー分である5点のダメージを、2体のクリーチャーへ
先ほど指定した順番で好きなように割り振る。
致死ダメージ以上のダメージを割り振らないと、列の次のクリーチャーへダメージが割り振れない。
Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《長毛のソクター》に割り振る。
割り振りが完了した後、その戦闘ダメージが即座に割り振られた様に与えられる。
・この後、Aが優先権を得て、呪文を唱えたり、起動型能力を起動したりできる。
今までは戦闘ダメージの割り振りそのものがスタックに積まれていました。
(スタックに積まれるオブジェクトとしては異質なモノでしたが)
しかし、M10ルールでは、ダメージを割り振ったら、即座にそれは与えられるようになりました。
割り振りの際に効いてくるのが、先ほど指定した「ダメージを受ける列の順番」です。
原文では
1:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》
2:《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》
という順番をAは指定していたので、結果は以下の図のようになります。
(http://www.wizards.com/mtg/images/daily/features/42a_example1b_LL.png)
もしAが順番を逆に指定していたらどうでしょう?
《死の一撃のミノタウルス》に4ダメージ(=致死ダメージ)を割り振り、
余った1点のダメージを《シーリアのエルフ》に割り振ることになるでしょう。
また、今までと異なるのは、戦闘ダメージが即座に与えられるので、
《巨大化/Giant Growth》や《サマイトの癒し手/Samite Healer》といったカードを有効に使用するには
戦闘ダメージ・ステップ中ではなく、ブロック・クリーチャー指定ステップ中に、使わなくてはいけなくなりました。
上の例を少し変えて、差異を見てみましょう。
====================================================
A: 《長毛のソクター》[5/4]
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] , 《死の一撃のミノタウルス》[3/4]
で、Bの手札には《目かくし/Bandage》があるとします。
AはBの手札の内容を知りません。
===================================================
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。
・戦闘ダメージ・ステップにおいて、Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
A「《死の一撃のミノタウルス》に4点、《シーリアのエルフ》に1点」 と宣言。
・戦闘ダメージがスタックに乗った後、解決前にBが《目かくし》を《死の一撃のミノタウルス》へプレイ。
・戦闘ダメージを解決。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて3点のダメージ。破壊されず。
・A 「orz」 B「(゜Д゜)ウマー」
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《死の一撃のミノタウルス》で《長毛のソクター》をブロック。
・Aは《死の一撃のミノタウルス》を倒したかったので、
A「《死の一撃のミノタウルス》が1番目、《シーリアのエルフ》が2番目。」 と宣言。
・戦闘ダメージ・ステップに入ってからでは遅いので、Bはとりあえず《死の一撃のミノタウルス》を対象に、《目かくし》を唱える。
・戦闘ダメージ・ステップの割り振りで、
A「1点軽減の盾があるから、1番目の《死の一撃のミノタウルス》へ5点。」と宣言。
・戦闘ダメージが直ちに与えられる。《死の一撃のミノタウルス》は1点軽減されて4点のダメージを受け、破壊される。
・A 「(・∀・)」 B「(´・ω・`)」
あくまで一例ですが、複数体でのブロックが行われ、コンバット・トリックが使用された場合に
以前のルールとは戦術的に異なる結果が出ることがあります。
また、原文では先制攻撃や二段攻撃に関する文章はありませんが、WofC公式掲示板によると、
「第1戦闘ダメージステップ」において、先制攻撃または二段攻撃を持つクリーチャーが
ダメージを列の順番に応じて与え、その後にプレイヤーが優先権を得て、呪文や能力を使用できます。
つまり、「第2戦闘ダメージステップ」の前に、コンバット・トリックを使用することができるということですね。
この点は今までと変わりありません。
FIRST STRIKE AND DOUBLE STRIKE
First Strike and Double Strike can and often will result in two combat damage steps.
In the first, First Strike damage will be assigned and resolve. There is a chance to
cast spells and activate abilities before taking care of regular combat damage.
You then take care of regular combat damage and have another chance to cast spells and
activate abilities.
#以下私見。
#順番を決めるという操作は今まで無かったので、異質に見えますが、
#実は、今までやってきたルール下での戦闘結果とあまり変わっていません。
#逆にダメージが割り振られるクリーチャーが見える事により、
#軽減や修整をどこにどの時点で与えるのがか、明解になっている印象を受けました。
#まだ1ヶ月あるので、ドラフトやEDH等でM10ルール下でのゲームを行ってみて下さい。
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6)接死
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(第6版ルール)
・接死は誘発型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーがいずれかのクリーチャー
にダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。」を意味する。
↓
(M10ルール)
・接死は常在型能力である。「接死/Deathtouch」は「このクリーチャーにダメージを与えられた
クリーチャーは破壊される。このクリーチャーの戦闘ダメージは、それがブロックしている、
あるいはそれをブロックしているクリーチャーの中で好きなように割り振れる。」を意味する。
接死能力が誘発型能力から常在型能力に変わりました。
今までは、接死能力をもつクリーチャーがダメージを与えてから、能力が誘発し、
その誘発した能力が解決されて始めて、ダメージをくらったクリーチャーは破壊されていました。
M10ルールでは、接死能力を持つクリーチャーにダメージを与えられた場合、そのクリーチャーは
状況起因効果によって破壊されます。同じ事の繰り返しですが、新しい状況起因効果として
「前回の状況起因効果のチェック時以降に接死を持つ発生源からダメージを与えられた
クリーチャーは破壊される。」
が追加されます。致死ダメージによる破壊と同時に起こるので、接死もちから致死ダメージを
受けたクリーチャーは、1回の再生の盾によって破壊を置換することで生き残れます。
(第6版ルールですと、致死ダメージによる破壊で1回、接死による破壊で1回、計2回が必要でした。)
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接死能力には、もう一つ新しい効果が追加されました。
それはトランプルと同様に、戦闘ダメージの割り振りを変更するものです。
前の章で説明した通り、複数体のクリーチャーと1体のクリーチャーがブロックした/された状態に
なっている場合、複数体のクリーチャーの方には、ダメージを割り振られる順番が指定されています。
接死能力はこの順番を無視し、ブロックしている/されている複数体のクリーチャーに対して、
好きなようにダメージを割り振ることができます。
例を挙げましょう。
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A:《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》[3/3]、接死
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ/Cylian Elf》[2/2] 、《灰色熊/Grizzly Bears》[2/2]
===================================================
(第6版ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
これらの戦闘ダメージの割り振りがスタックに積まれる。
・スタック上の戦闘ダメージを解決する。《レンの地の克服者》の接死能力が誘発する。
状況起因効果によって、致死ダメージを受けた《レンの地の克服者》は破壊される。
・誘発した接死能力を解決する。《シーリアのエルフ》と《灰色熊》は破壊される。
↓
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に2点」と戦闘ダメージを割り振る。
(→接死能力を持っているので、好きなように割り振ってよい)
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。
・状況起因効果のチェックを行う。
《レンの地の克服者》(致死ダメージを受けている)
《シーリアのエルフ》(接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
《灰色熊》 (接死を持つ発生源からダメージを与えられた)
以上は状況起因効果によって破壊される。
3体とも破壊されてしまう点で、結果としては同じです。
が、墓地に送られる順番が多少違うので、誘発型能力などが絡むとややこしいことになります。
それでも、落ち着いて適用していけば、対応は可能です。
また、原文にもあるとおり、ダメージが割り振られてからクリーチャーが接死能力によって
破壊されるまでに、プレイヤーは優先権を得ません。
言い換えると、再生能力や軽減能力を使用してクリーチャーを助けたい場合は、
ブロック・クリーチャー指定ステップの間に、それらの能力を使用する必要があります。
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これだけ見ると、『接死もちが与えるダメージは1点で致死ダメージ扱い』という様に見えますが、
それは大きな勘違いです。
なぜならば、接死とトランプルを同時に持っている場合に、戦闘ダメージの割り振りは
今までと同様に「全てのブロック・クリーチャーに致死ダメージを与え」ないと、
プレイヤーへ割り振ることができません。接死はダメージを与えたクリーチャーを、
状況起因効果によって破壊しますが、それは「致死ダメージ」とは何も関係ありません。
上の例を変えて説明しましょう。
====================================================
A:《ロクソドンの戦槌》を装備した《レンの地の克服者》、[6/3]、接死、絆魂
攻撃↓
B:《シーリアのエルフ》[2/2] 、《灰色熊》[2/2]
===================================================
(M10ルール)
・Bが《シーリアのエルフ》と《灰色熊》の2体で、Aの《レンの地の克服者》をブロックする。
・Aは 「1番目に《シーリアのエルフ》、2番目に《灰色熊》」と宣言する。
・戦闘ダメージ・ステップで、Aは
「《シーリアのエルフ》に2点、《灰色熊》に2点、プレイヤーに2点」と戦闘ダメージを割り振る。
(→トランプルは全てのブロック・クリーチャーへ致死ダメージを割り振らないと、
プレイヤー又はプレインズウォーカーへダメージを割り振れない。
「《シーリアのエルフ》に1点、《灰色熊》に1点、プレイヤーに4点」
と割り振ることはできない。)
・Bは2体のクリーチャーのパワー分のダメージを《レンの地の克服者》に割り振る。
割り振られた戦闘ダメージは即座に解決される。
絆魂については次の章で説明します。
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続きます。
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