The Storm and multiple copies.
2006年11月22日コメント (3)時のらせんで帰ってきたメカニズムの「ストーム/Storm」や、
ギルドパクトのイゼット団が得意とする「複製/Replicate」は、
多数のコピーを生み出すことができる。
今回はそれらに関してつらつらと。
・コピーが作成されるのはいつか?
ストームや複製によってコピーが作成されるのは、それらの能力を持つ呪文が
プレイされたときに誘発する、誘発型能力の解決時である。
たとえば、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした場合、スタックには
2)《万の眠り/Gigadrowse》の誘発型能力(複製)
1)《万の眠り/Gigadrowse》
という様に積まれる。
この時に注意しなくてはいけないのは、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした
だけでは、まだコピーは作成されていないので、対象を言う必要は無いことである。
よくある光景として、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイし、{U}を5つ使って
複製を4つ作ることを言い、
「では、その島4つと印鑑1つをタップします。」
と宣言するプレイヤーがいる。
厳密にルールに照らし合わせると、この行為は間違っている。
《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした段階では、対象を1つしか言えない。
誘発型能力が解決してからコピーが作成させるので、それをスタックに乗せる時に
改めて対象を言うのが(ルール上は)正しい。
さきほどの例で言うと、
《万の眠り/Gigadrowse》をプレイし、{U}を5つ使って複製を4つ作ることを言い、
「では、その島を対象にします。(タップします)」
と言い、誘発型能力を解決している間に、
「コピーの対象は、残り3つの島と印鑑1つです。順番は上から……」
となる。
もちろん、誘発型能力が打ち消されるのはまれなケースなので、
途中を省略するのはかまわない。が、省略されている事柄を知っておかないと、
対応や処理を正しく行うことができない事がある。
例を出そう。
上と同じく、「では、その島4つと印鑑1つをタップします。」と言われた時に、
対戦相手の手札に《計略縛り/Trickbind》があって、複製を打ち消した。
ここで、対戦相手がこんなことを言い出した。
「オリジナルの《万の眠り/Gigadrowse》の対象は島ですよね?」
さあ、どうすればよいだろう。(各自で考えること)
・スタックの積み残し
《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》から《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》を
呼び出し、一気に勝負を決めるデッキがスタンダードでよく見かけるようになった。
このデッキの対抗策として、《発光/Luminesce》が採用されている場合がある。
しかし、このカードはプレイするタイミングを考えないと大損になる。
例を出して考えよう。このターン、既に3回呪文がプレイされていて、
対戦相手が《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》をプレイしたとする。
あなたの手札に《発光/Luminesce》がある場合、いつの時点でプレイすべきか?
「《ボガーダンのヘルカイト》が4体出た後で《発光/Luminesce》をプレイ。これで20点全部軽減できる。」
・・・と、考えるのは間違いである。
まずはスタック領域を考えよう。《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》をプレイしたとする。
2)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》の誘発型能力(ストーム:カウント3)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
スタックの一番上にある、2)を解決する。
5)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
4)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
3)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
スタックの一番上にある、5)を解決し、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》を場に出す。
場に出たので、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》の誘発型能力をスタックに乗せる。
6)《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》の誘発型能力(ダメージ5点)
4)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
3)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
ここで、あなたは《発光/Luminesce》をプレイすることができる。
そうした場合、あなたはこのターンにダメージを受けずにすむだろう。
が、対戦相手はこれ以降の《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を解決するときに、
『ドラゴンを出さない』という選択が可能である。
つまり、もう一度即死(に近い)コンボを決めるチャンスがあるわけだ。
もちろん、6)をスルーして4)の解決後に《発光/Luminesce》をプレイしてもよいし、
それ以降に《発光/Luminesce》をプレイしても良い。
が、「《ボガーダンのヘルカイト》が全部出きった後で《発光/Luminesce》をプレイして全部軽減・・・」
という虫の良いことはできない。
・コピーとストーム、複製
ストームや複製は、それを持つ呪文がプレイされたときに誘発する。
逆に言うと、プレイされなければ誘発しない。
例を出すと、《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を《反復/Reiterate》しても
新たにストームが(《反復/Reiterate》によるコピーによって)誘発することはない。
《イゼットのギルド魔道士/Izzet Guildmage》でも同じ事である。
《嵐の目/Eye of the Storm》は「プレイする」と書かれているので、ストームや複製は
誘発する。
このあたりはカードの文章をよく見て判断してもらいたい。
---------------------------
年末予告:
FMQは[06-49]で今年の通常運転はおしまいです。
[06-50]は12/22に発表しますが、それは年末企画として、解答をメールで送ってもらい、
高得点を取った人には抽選で賞品を差し上げようかと考えております。
(あんまり豪華なものではありませんし、DCI-foilぐらいかな)
そんなところで。
ギルドパクトのイゼット団が得意とする「複製/Replicate」は、
多数のコピーを生み出すことができる。
今回はそれらに関してつらつらと。
・コピーが作成されるのはいつか?
ストームや複製によってコピーが作成されるのは、それらの能力を持つ呪文が
プレイされたときに誘発する、誘発型能力の解決時である。
たとえば、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした場合、スタックには
2)《万の眠り/Gigadrowse》の誘発型能力(複製)
1)《万の眠り/Gigadrowse》
という様に積まれる。
この時に注意しなくてはいけないのは、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした
だけでは、まだコピーは作成されていないので、対象を言う必要は無いことである。
よくある光景として、《万の眠り/Gigadrowse》をプレイし、{U}を5つ使って
複製を4つ作ることを言い、
「では、その島4つと印鑑1つをタップします。」
と宣言するプレイヤーがいる。
厳密にルールに照らし合わせると、この行為は間違っている。
《万の眠り/Gigadrowse》をプレイした段階では、対象を1つしか言えない。
誘発型能力が解決してからコピーが作成させるので、それをスタックに乗せる時に
改めて対象を言うのが(ルール上は)正しい。
さきほどの例で言うと、
《万の眠り/Gigadrowse》をプレイし、{U}を5つ使って複製を4つ作ることを言い、
「では、その島を対象にします。(タップします)」
と言い、誘発型能力を解決している間に、
「コピーの対象は、残り3つの島と印鑑1つです。順番は上から……」
となる。
もちろん、誘発型能力が打ち消されるのはまれなケースなので、
途中を省略するのはかまわない。が、省略されている事柄を知っておかないと、
対応や処理を正しく行うことができない事がある。
例を出そう。
上と同じく、「では、その島4つと印鑑1つをタップします。」と言われた時に、
対戦相手の手札に《計略縛り/Trickbind》があって、複製を打ち消した。
ここで、対戦相手がこんなことを言い出した。
「オリジナルの《万の眠り/Gigadrowse》の対象は島ですよね?」
さあ、どうすればよいだろう。(各自で考えること)
・スタックの積み残し
《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》から《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》を
呼び出し、一気に勝負を決めるデッキがスタンダードでよく見かけるようになった。
このデッキの対抗策として、《発光/Luminesce》が採用されている場合がある。
しかし、このカードはプレイするタイミングを考えないと大損になる。
例を出して考えよう。このターン、既に3回呪文がプレイされていて、
対戦相手が《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》をプレイしたとする。
あなたの手札に《発光/Luminesce》がある場合、いつの時点でプレイすべきか?
「《ボガーダンのヘルカイト》が4体出た後で《発光/Luminesce》をプレイ。これで20点全部軽減できる。」
・・・と、考えるのは間違いである。
まずはスタック領域を考えよう。《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》をプレイしたとする。
2)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》の誘発型能力(ストーム:カウント3)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
スタックの一番上にある、2)を解決する。
5)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
4)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
3)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
スタックの一番上にある、5)を解決し、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》を場に出す。
場に出たので、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》の誘発型能力をスタックに乗せる。
6)《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》の誘発型能力(ダメージ5点)
4)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
3)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》(コピー)
1)《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》
ここで、あなたは《発光/Luminesce》をプレイすることができる。
そうした場合、あなたはこのターンにダメージを受けずにすむだろう。
が、対戦相手はこれ以降の《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を解決するときに、
『ドラゴンを出さない』という選択が可能である。
つまり、もう一度即死(に近い)コンボを決めるチャンスがあるわけだ。
もちろん、6)をスルーして4)の解決後に《発光/Luminesce》をプレイしてもよいし、
それ以降に《発光/Luminesce》をプレイしても良い。
が、「《ボガーダンのヘルカイト》が全部出きった後で《発光/Luminesce》をプレイして全部軽減・・・」
という虫の良いことはできない。
・コピーとストーム、複製
ストームや複製は、それを持つ呪文がプレイされたときに誘発する。
逆に言うと、プレイされなければ誘発しない。
例を出すと、《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を《反復/Reiterate》しても
新たにストームが(《反復/Reiterate》によるコピーによって)誘発することはない。
《イゼットのギルド魔道士/Izzet Guildmage》でも同じ事である。
《嵐の目/Eye of the Storm》は「プレイする」と書かれているので、ストームや複製は
誘発する。
このあたりはカードの文章をよく見て判断してもらいたい。
---------------------------
年末予告:
FMQは[06-49]で今年の通常運転はおしまいです。
[06-50]は12/22に発表しますが、それは年末企画として、解答をメールで送ってもらい、
高得点を取った人には抽選で賞品を差し上げようかと考えております。
(あんまり豪華なものではありませんし、DCI-foilぐらいかな)
そんなところで。
コメント
「では、その島を対象にします。(タップします)」
上の(タップします)はオリジナルの解決時なので一番最後だと思うのですが?
呪文や能力の解決はスタックに積まれた順序とは逆順で行われるので、
一番最初に積まれたオリジナルの《万の眠り/Gigadrowse》の解決は一番最後に
なり、その時点で対象の島をタップします。
> 「では、その島を対象にします。(タップします)」
では、この文章はどういう意図で述べられているのかと考えると、おそらく
こういう文意なのではないでしょうか?
(オリジナルの《万の眠り/Gigadrowse》をプレイする際に)
「タップされる『対象』として、その島を指定します。」
つまり、「対象指定がどの時点で行われるか」の観点に基づいて述べられて
いるだけであり、括弧書きで「(タップします)」と表記されているのは、
「(対象指定とは別タイミングである)解決時にはタップされますよ」
という意味合いが込められているだけにすぎないと思います。
>>testing氏
> さあ、どうすればよいだろう。(各自で考えること)
・『…ですよね?』に同意しない場合に起こるであろう巻き戻しはどこまで?
・公式戦の場合のペナルティは誰に課せられる?
判断が難しいです。後ほど、某IRCでの話のネタにしたいです。