東海Regionalsも近いので、ルールとは少し趣が異なるお話。

Regionalsのような、スイス戦のみでトップ○人抜け、というような
レギュレーションでは、勝ち進むことが最低条件だが、どうしても
同意による引き分け(ID)を考えてしまうときもあるだろう。

通常のシングル・エリミネーションで決勝を行うならまだ良い戦略だが、
スイス・ラウンドだけ、となると話は全く別になる。

さて、こんな状況を想定してみよう。


  T氏は現在、96人参加の地区選手権に出場している。
  スイス・ラウンドは7回戦であり、現在は6回戦を終了したところだ。
  成績は5−1−0。抜けるためにはどうしてもあと1勝が必要である。
  
  スタンディングが発表され、15点のラインには7名ほどが散らばっていた。
  Opp% の数字は、50.0000ときりの良い数字が並んでいた。
  
  ペアリングを見ると、相手も15点の人。やはり、勝つしかない。
  だが、勝っても抜けれるのだろうか?


さて、T氏というのは架空の人物だとしてお送りいたしますが、
この場合、T氏の Opp% が最大いくつになり、最低でいくつになるだろうか?

実はこれ、計算で求められるのである。

まずは、Opp%こと、「オポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ」の定義を。

オポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ:
 あるプレイヤーのオポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージとは、
そのプレイヤーが対戦した相手のマッチ・ウィン・パーセンテージの平均である
(不戦勝のラウンドは除く)。


マッチ・ウィン・パーセンテージとは、そのプレイヤーの勝ちを3点、負けを0点、分けを1点と
したときに、その点数の和(=マッチ・ポイント)を(ラウンド数x3)で割ったものである。
たとえば、全勝者のマッチ・ウィン・パーセンテージは1.00(=100%)である。

-----------------------------
(以下、T氏が対戦したプレイヤーは全くドロップしなかったと仮定する。)

さて、T氏の Opp% は6回戦終了時で 50.0000% であった。
これより、T氏が対戦してきたプレイヤーのマッチ・ポイントをM1,M2... ,M6とすると、

   50.0000 (%) = (M1/18 + M2/18 + .... + M6/18) / 6 ・・・a)

で計算されていることになる。

また、7回戦終了時のT氏のOpp%は、以下の式で計算される。

   Opp% = (M1’/21 + M2’/21 + .... + M6’/21 + M7’/21) / 7 ・・・b)

7回戦終了時に、M1, M2,... M6のマッチ・ポイントはそれぞれが勝つ(+3)か、負ける(+0)
か、分ける(+1)のいずれかなので、これらの総和は+0〜+18までの間で揺れる。
ということは、以下の式が成り立つ。

   (M1+M2+...+M6) ≦ (M1’+M2’+...+M6’) ≦ (M1+M2+...+M6) + 18 ・・・c)

a)式より、(M1+M2+...+M6)の値は出せる。
b)式のM7’というのは、7回戦の対戦相手のマッチ・ポイントなのだから、容易に算出できる。
例の状況だと、T氏が勝った場合、M7= 15 である。

c)式をb)式に代入して計算すると、

   46.9388 ≦ Opp% ≦ 59.1837

となる。

----------------------------------

もちろん、ドロップしている人間がいるとその人間のマッチ・ポイントが変わらない。ので、結局は
「その人が該当ラウンドで負けた」のと同じ扱いになる。

「該当ラウンドで負けた」扱いにはならないが、値が増えることはない。

また、マッチ・ウィン・パーセンテージは0.33 (=33.3333%) 以下にはならないので、
過去の対戦相手が勝ったとしても、Opp%を計算するときには何も変わらない場合もありうる。

なので、実際にこれほどの幅をもってOpp%が変動することはあまりない。

仮に成績が一歩届かなかったとしても、一度はスタンディングを見て、
上位陣の予想をしてみてはいかがだろうか。

---------------------------------
そんなところで。

(2006/06/09)文章を一部修正しました。

コメント

nophoto
まさ
2006年6月9日13:13

>もちろん、ドロップしている人間がいると
この部分ですが、チョット違うようです。
たとえばスイス式7回戦の大会で5回戦終了時に2勝3敗でドロップしたプレイヤーのマッチ・ウィン・パーセンテージは
6÷21=28.57%ではなく、(実際にはこの場合33.33%になる)
6÷15=40.00%になるようです。
ソースはMJMJ内「タイブレーカーの解説」のプレイヤーDの例。

実際にDCIR内での実装がどうなっているかまでは調べませんでしたが、
たしかそのようになっていたと記憶しています。(数年前の記憶なので信憑性は低いですが)

testing
testing
2006年6月9日23:30

>まさ さん

たしかにドロップしている人間のマッチ・ウィン・パーセンテージは全く変化しないので、「そのラウンドで負けた」扱いにはなりませんね。
表現を変えておきます。ご指摘ありがとうございました。

nophoto
まさ
2006年6月9日23:35

全く変化しないから手計算するとき面倒なんですよねぇ。
スコアシートで手計算するときは簡略化のために
「対戦相手のマッチポイントの合計(最低値=ラウンド数)」を使いますから。

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