Layered Structure

2006年6月7日
昨日の記事の解説。

結局のところ、継続的効果の相互作用(CR418.5.)を処理するのが難しい。
1つや2つならば瞬間にわかるが、タイムスタンプや特性定義能力がでてくると
もうお手上げ、という人は結構いると思う。

そこで、どんなに継続的効果の数が増えたとしても対応できるようなやり方を
以下に紹介する。

なお、このやり方は StarCityGames でおなじみの Seamus Campbell の記事によるものである。

========================================================
まず先に言っておくが、どうタイムスタンプ順を変えたとしても、
《伏魔殿/Pandemonium》の能力は失われてるために、「場に出たとき〜」の能力は誘発しない。
なので、3−1)は0点である。

さて、《ティタニアの歌/Titania’s Song》、《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》、
《謙虚/Humility》、《オパール色の輝き/Opalescence》のそれぞれの継続的効果を
どう適用するかを考えよう。

注意しなくてはならないのは、CR418.5b.である。

効果が複数の種類別に分類できる場合、そのそれぞれの部分がそれぞれの種類別として処理される。

例えば、《謙虚/Humility》の文章は
「すべてのクリーチャーはすべての能力を失うとともに1/1になる。」

とあるので、「全てのクリーチャーは能力を失う」が第5種、
「全てのクリーチャーは1/1になる」が第6b種に分類される。

対して、《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》の文章は、
(1番目)「すべてのパーマネントは、そのタイプに加えてアーティファクトである。 」
(2番目)「場以外にあるすべてのカード、すべての呪文、すべてのパーマネントは無色である。」

と、文章が別れているため、それぞれが別に解釈される。

いずれかの種類別において効果が適用されはじめた場合、この効果を生み出している能力が途中で
失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別で適用される。


また、この文章が非常に重要であり、たとえば《謙虚/Humility》がすでにクリーチャーであり、
自身の能力で「全てのクリーチャーは能力を失っ」たとしても、すでに適用され始めているので、
(第6b種を適用する段階ではすでに《謙虚/Humility》は能力を持っていないが)、
「全てのクリーチャーは1/1になる」という部分もそのまま適用される。

以上の部分に注意しつつ、効果を処理していく。
=====================================================

さて、継続的効果を、Seamus Campbell の表記法に則って処理をしてみよう。

1)全ての継続的効果を、効果:種類別:特性定義能力であるか否か、に分けて書き出す。

(Layer: 種類別 CSA:特性定義能力であるかどうか。yesならそうであるし、noならそうではない。)

Effect                :Layer    :CSA
T’s Song (become creature)    :4    :no
T’s Song (lose abilities)    :5    :no
T’s Song (set P/T)        :6b    :no
Humility (lose abilities)    :5    :no
Humility (set 1/1)        :6b    :no
Mycosynth Lattice [1st ability] :4    :no
Mycosynth Lattice [2nd ability] :5    :no
Opalescence (become creature)    :4    :no
Opalescence (set P/T)        :6b    :no

 
2)種類別を基準としてソートする。(タイムスタンプ順があるならばその通りにする。)

Effect                :Layer    :CSA
T’s Song (become creature)    :4    :no
Mycosynth Lattice [1st ability] :4    :no
Opalescence (become creature)    :4    :no
T’s Song (lose abilities)    :5    :no
Humility (lose abilities)    :5    :no
Mycosynth Lattice [2nd ability] :5    :no
T’s Song (set P/T)        :6b    :no
Humility (set 1/1)        :6b    :no
Opalescence (set P/T)        :6b    :no

3)それぞれのレイヤーについて、依存性をチェックする。
もしAがBに依存するのであれば、Aの能力をBの下にもってくる。
互いに依存してループをしているのであれば、タイムスタンプ順のままにする。


この例の場合、第4種について:
《Titania’s Song》は《Opalescence》、《Mycosynth Lattice》に依存しており、
《Titania’s Song》が一番最後に適用される。
《Mycosynth Lattice》、《Opalescence》は互いに独立なので、タイムスタンプ順に書く。

結果として、
「全てのパーマネントはアーティファクトでもある。」
「《Opalescence》を除く全てのエンチャントはクリーチャーでもある。」
「全ての非生物であるアーティファクトはクリーチャーでもある。」

第5種について:
《Mycosynth Lattice》が他の2つとは依存性をもっていないので、一番始めに解決される。
その後、《Titania’s Song》と《Humility》をタイムスタンプ順に処理をする。

ここで問題になるのが、どちらかの「能力を失う」という効果によって、他の効果が
適用されなくなってしまうことだが、幸いなことに、どちらを先に適用したとしても、
他方の効果はすでに解決中(《Opalescence》《Titania’s Song》)か、適用されるものではない
(《Humility》は既に生物であるので、第4種の時に《Titania’s Song》の影響を受けていない)ので、
特にどちらを先に適用しようとも関係がない。

結果として、
「全てのクリーチャーは能力を失う」
「場以外にあるすべてのカード、すべての呪文、すべてのパーマネントは無色である。」
となる。

第6種について:

第6種の効果は、必ず全て依存するので、タイムスタンプ順を考えることになる。
関係するのは《Opalescence》《Titania’s Song》《Humility》だが、
《Humility》を一番最後にもってくるようなタイムスタンプ順にすると、全てのクリーチャーは
1/1になり、それ以外ならば、最後にもってきたものに関係するパーマネントが、
マナ・コストと同じだけのP/Tを持つことになる。

-----------------------------------------------
では、実際のパーマネントに適用してみよう。

a) アーティファクト(例:《イゼットの印鑑/Izzet Signet》)

適用する能力を書き出す。(赤色の文字はタイムスタンプ順で反転することもある。)

Effect                :Layer    :CSA
Mycosynth Lattice [1st ability] :4    :no
T’s Song (become creature)    :4    :no
Mycosynth Lattice [2nd ability] :5    :no
T’s Song (lose abilities)    :5    :no
Humility (lose abilities)    :5    :no
T’s Song (set P/T)        :6b    :no
Humility (set 1/1)        :6b    :no

アーティファクト・クリーチャー、能力無し、無色、2/2又は1/1。
となる。

以下同様に。

b) エンチャント(例:《伏魔殿/Pandemonium》)
アーティファクト・エンチャント・クリーチャー、能力無し、無色、4/4又は1/1

c) 土地(例:《平地/Plains》)
アーティファクト・クリーチャー、能力無し、無色、0/0又は1/1

d) クリーチャー(例:《灰色熊/Grizzly Bears》)
アーティファクト・クリーチャー、能力無し、無色、1/1

以上のようになる。

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複数の継続的効果を適用する場合のおさらい:

1)全ての継続的効果を書き出す。タイムスタンプ順があきらかならば、その順に書く。
2)種類別(レイヤー)にソートする。特性定義能力があれば、それを種類別内で一番上に書く。
3)同じレイヤーにある効果について、依存性をチェックする。依存してる効果は下に回す。
  依存してループになっている場合、タイムスタンプ順を崩さないようにする。
  これによって特性定義能力が一番上で無くなる時もあるが、それは適正である。
4)上から順次適用を行う。

================================
そんな感じで。

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