How to use LKI.
2006年5月11日コメント (2)LKI=Last Known Infomation / 最後の情報 は、ルールのなかでも扱いに一番困るものである。
なんでもかんでも最後の情報を見て判断する、とは限らないからだ。
今日はそんな最後の情報についての話。
最後の情報は……
1)
呪文、起動型能力、または誘発型能力の解決時に用いる。
常在型能力に適用される事はないし、誘発型能力が誘発するかどうかを決める際には用いられない。
2)
最後の情報は、ゲームがそれを必要とするときにのみ、用いられる。
3)
最後の情報は、呪文や能力がプレイされた、誘発した、またはスタックに置かれた後で
領域を移動した場合、その情報を参照する必要がある場合にのみ、用いられる。
これだけではなんのことだかわからないと思うので、例をだそう。
例1)
プレイヤーAのコントロールする《歩く書物/Walking Archive》の上に、+1/+1カウンターが
2個乗っている。プレイヤーBのターンのアップキープ・ステップに、この能力を解決する前に、
プレイヤーBが《帰化/Naturalize》で《歩く書物/Walking Archive》を破壊した。
この場合、プレイヤーBは、《歩く書物/Walking Archive》の誘発型能力の解決時に、
「歩く書物の上に置かれている+1/+1カウンター1個につきカードを1枚引く」ことを
しなくてはならない。が、すでに《歩く書物/Walking Archive》は場に無い(=領域を移動した)ので、
カウンターの数という情報を求めるために、最後の情報を使用する。
結果、プレイヤーBは2枚のカードを引くことになる。
「カウンターの数が2個」という最後の情報を参照できたのは、
1)《歩く書物/Walking Archive》の誘発型能力の解決時であった。
2)ゲームが「カウンターの数は何個か?」という情報を必要とした。
3)《歩く書物/Walking Archive》が領域を移動していた。
という理由に他ならない。では次の例を見てみよう。
例2)
プレイヤーAが、《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》の能力を起動して、
プレイヤーBの《極楽鳥/Birds of Paradise》にダメージを与えようとした。
プレイヤーBは、その能力を解決するまえに、《祝福の息吹/Blessed Breath》を
《極楽鳥/Birds of Paradise》にプレイし、解決時に「赤」と宣言した。
その後、プレイヤーAは《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》で
《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》を生け贄にささげてライフを得た。
さて、《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》の能力を解決しよう。
「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。アナーバのシャーマンはそれに1点のダメージを与える。」
とあるが、この対象になった《極楽鳥/Birds of Paradise》は、プロテクション(赤)を得ているので、
能力の発生源の「色」の情報が必要になる。
すでに《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》は場にいないので、最後の情報を使用する。
結果、この能力の発生源の色は「赤」なので、プロテクション(赤)によってこの能力は
対象が全て不適正となったので、打ち消される。
最後の情報を使用できる理由は、前の例と同じである。では次。
例3)
プレイヤーAの《灰色熊/Grizzly Bears》が、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を装備している。
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の上には、蓄積カウンターが1個乗っている。
プレイヤーAが《灰色熊/Grizzly Bears》で攻撃を宣言し、戦闘ダメージを割り振る前に
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》のカウンターを1つ取り除いて、《灰色熊/Grizzly Bears》に
+2/+2の修正を与えようとした。これに対して、プレイヤーBは、《帰化/Naturalize》を
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》にプレイし、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を破壊した。
さて、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の能力を解決しよう。
「装備しているクリーチャーは、ターン終了時まで+2/+2の修整を受ける」とある。
すでに《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は場に無いので、
「装備しているクリーチャー」は存在せず、結果としてこの能力は何もしない。
……
……
……もちろん、間違いである。
1)《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の起動型能力の解決時である。
2)ゲームが「装備しているクリーチャー」の情報を聞いている。
3)《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は場から墓地に領域を移動している。
つまり、最後の情報を使用できるのだ。
結果として《灰色熊/Grizzly Bears》は、+2/+2の修正を受けて、プレイヤーBを殴れる。(ouch
==============================
このように、最後の情報を参照できる場合というのはきっちりと定義されている。
なんでもかんでも最後の情報を使用できると思ったら大間違いなのだ。
また、「最後の情報」というのは、厳密な意味合いでの「最後の情報」なのだ。
例を挙げると、《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》の能力を使用後、
《最後の喘ぎ/Last Gasp》によって-3/-3修正を受けて、《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が
墓地に置かれたとする。このとき、先の能力にのって与えられるダメージは0点である。
なぜなら、参照できる最後の情報は、場にいるときの最後の情報
……つまり、1/2から-3/-3修正を受けた状態(-2/-1)……
を使用するからだ。
==============
そんな感じで。
なんでもかんでも最後の情報を見て判断する、とは限らないからだ。
今日はそんな最後の情報についての話。
最後の情報/Last Known Information
オブジェクトの最後の情報とは、それが以前に存在した領域を離れる直前での情報である。
呪文や能力の解決によって発生する効果がオブジェクトの情報を必要とする際に、そのオブジェクトが
しかるべき領域にない場合には、そのオブジェクトの最後の情報を用いる。rule 413.2f 参照。
(なお、ダメージを分配する類の効果では、タイミングが異なる。)
最後の情報は……
1)
呪文、起動型能力、または誘発型能力の解決時に用いる。
常在型能力に適用される事はないし、誘発型能力が誘発するかどうかを決める際には用いられない。
2)
最後の情報は、ゲームがそれを必要とするときにのみ、用いられる。
3)
最後の情報は、呪文や能力がプレイされた、誘発した、またはスタックに置かれた後で
領域を移動した場合、その情報を参照する必要がある場合にのみ、用いられる。
これだけではなんのことだかわからないと思うので、例をだそう。
例1)
プレイヤーAのコントロールする《歩く書物/Walking Archive》の上に、+1/+1カウンターが
2個乗っている。プレイヤーBのターンのアップキープ・ステップに、この能力を解決する前に、
プレイヤーBが《帰化/Naturalize》で《歩く書物/Walking Archive》を破壊した。
この場合、プレイヤーBは、《歩く書物/Walking Archive》の誘発型能力の解決時に、
「歩く書物の上に置かれている+1/+1カウンター1個につきカードを1枚引く」ことを
しなくてはならない。が、すでに《歩く書物/Walking Archive》は場に無い(=領域を移動した)ので、
カウンターの数という情報を求めるために、最後の情報を使用する。
結果、プレイヤーBは2枚のカードを引くことになる。
「カウンターの数が2個」という最後の情報を参照できたのは、
1)《歩く書物/Walking Archive》の誘発型能力の解決時であった。
2)ゲームが「カウンターの数は何個か?」という情報を必要とした。
3)《歩く書物/Walking Archive》が領域を移動していた。
という理由に他ならない。では次の例を見てみよう。
例2)
プレイヤーAが、《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》の能力を起動して、
プレイヤーBの《極楽鳥/Birds of Paradise》にダメージを与えようとした。
プレイヤーBは、その能力を解決するまえに、《祝福の息吹/Blessed Breath》を
《極楽鳥/Birds of Paradise》にプレイし、解決時に「赤」と宣言した。
その後、プレイヤーAは《嘆きの井戸、未練/Miren, the Moaning Well》で
《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》を生け贄にささげてライフを得た。
さて、《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》の能力を解決しよう。
「クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。アナーバのシャーマンはそれに1点のダメージを与える。」
とあるが、この対象になった《極楽鳥/Birds of Paradise》は、プロテクション(赤)を得ているので、
能力の発生源の「色」の情報が必要になる。
すでに《アナーバのシャーマン/Anaba Shaman》は場にいないので、最後の情報を使用する。
結果、この能力の発生源の色は「赤」なので、プロテクション(赤)によってこの能力は
対象が全て不適正となったので、打ち消される。
最後の情報を使用できる理由は、前の例と同じである。では次。
例3)
プレイヤーAの《灰色熊/Grizzly Bears》が、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を装備している。
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の上には、蓄積カウンターが1個乗っている。
プレイヤーAが《灰色熊/Grizzly Bears》で攻撃を宣言し、戦闘ダメージを割り振る前に
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》のカウンターを1つ取り除いて、《灰色熊/Grizzly Bears》に
+2/+2の修正を与えようとした。これに対して、プレイヤーBは、《帰化/Naturalize》を
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》にプレイし、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を破壊した。
さて、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の能力を解決しよう。
「装備しているクリーチャーは、ターン終了時まで+2/+2の修整を受ける」とある。
すでに《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は場に無いので、
「装備しているクリーチャー」は存在せず、結果としてこの能力は何もしない。
……
……
……もちろん、間違いである。
1)《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》の起動型能力の解決時である。
2)ゲームが「装備しているクリーチャー」の情報を聞いている。
3)《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は場から墓地に領域を移動している。
つまり、最後の情報を使用できるのだ。
結果として《灰色熊/Grizzly Bears》は、+2/+2の修正を受けて、プレイヤーBを殴れる。(ouch
==============================
このように、最後の情報を参照できる場合というのはきっちりと定義されている。
なんでもかんでも最後の情報を使用できると思ったら大間違いなのだ。
また、「最後の情報」というのは、厳密な意味合いでの「最後の情報」なのだ。
例を挙げると、《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》の能力を使用後、
《最後の喘ぎ/Last Gasp》によって-3/-3修正を受けて、《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が
墓地に置かれたとする。このとき、先の能力にのって与えられるダメージは0点である。
なぜなら、参照できる最後の情報は、場にいるときの最後の情報
……つまり、1/2から-3/-3修正を受けた状態(-2/-1)……
を使用するからだ。
==============
そんな感じで。
コメント
> 1)
> 呪文、起動型能力、または誘発型能力の解決時に用いる。
> 常在型能力に適用される事はないし、誘発型能力が誘発するかどうかを決める際には用いられない。
[a]
「戦闘ダメージの解決時」を付け加えてもいいのではないかと思いました。
310.4. 戦闘ダメージは、ひとつのオブジェクトとして解決される。解決時に、それは
割り振られていた通りにすべて一度に与えられる。戦闘ダメージの解決が終わった後、
アクティブ・プレイヤーは優先権を得る。
310.4b ダメージの発生源は、その時に場に存在していればそのクリーチャーであり、
場に存在していなければその場を離れる直前の情報を見る。
[b]
確か、戦闘ダメージの解決時に既に戦闘ダメージ発生源が場を離れていても、その
発生源の最後の情報が「あなたがコントロールするクリーチャー」であれば、
《Coastal Piracy/沿岸の海賊行為》[8ED]、《Larceny/窃盗》[8ED]などは、誘発する
はずです。(プレイヤーや対戦相手に戦闘ダメージが届いている必要がありますが。)
「誘発型能力が誘発するかどうかを決める際には用いられない」はこのことに反して
いると思われるのですが、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか?
あと、5/2の記事に亀レスを入れておきましたので、どうかご覧になってください。
いつも厳しいご指摘をありがとうございます。
さてコメントへの返事ですが、ダメージに関する割り振りに関しては最後の情報とはまた異なる処理をすると、私は考えております。
理由は用語集の「最後の情報」の項目に書かれている通りです。
つまり、ダメージをどうこうするような効果の場合はそもそも発生源が問題になるため、それを参照する必要があると私は考えます。
なので、特別に記載しなくてもよいと判断いたしました。
「誘発型能力が誘発するかどうかを決める際には用いられない」
というくだりですが、これはそもそも誘発条件に合致するのならば、最後の情報がその誘発条件に合致する、ということでしょう。
では、その「最後の情報」をもっているときになぜ誘発条件のチェックが処理されずに残っているのでしょうか?
つまり、そのような状況はありえないからと考えられます。
また、具体例を探してみましたが、私には見つけられませんでした。申し訳ございません。